カテゴリー「蕎麦の世界」の記事

2017年3月 2日 (木)

真田信繁(幸村)はそばを食べたか食べないか。

1月に群馬に行った時に、
かねてから気になっていた町、
沼田に寄ってきた。

沼田は、真田信繁(幸村)の父、
昌幸がこだわった土地だ。
家康に盾を突いても、
この場所を守ろうとしたのだ。
(第一次上田合戦)

去年、放送された「真田丸」というテレビドラマのお陰で、
ここ沼田も注目を浴び、、、、
たのかどうかわからないが、
そのドラマをテーマにした展示施設が開かれていたりした。
そのドラマ、
私は、一話も見ていないのだけれど。

なるほど、
沼田の町は全体が高台にあり、
西と北を見下ろせる。
北側には、
上越国境の山々がそびえ立つのが望まれる。
越後から関東に入るには、
ここを通らなければならない要所だったのだね。

そこで、昌幸は、ここを押さえておきたかったのだ。

ということはともかく、
そばの話だ。

真田信繁は、大阪夏の陣で討ち死にしたのだから、
1615年に亡くなったことになる。
さて、信繁は、そばを食べたのだろうか。

前にも書いたのだが、
記録に残る限り、今のようなそば、
つまり「そば切り」というものが現れたのは、
1572年。
長野県は木曽のお寺で、そば切りを振る舞ったそうだ。
それ以降の記録は、
近江のお坊さんが江戸でそば切りを食べたという、
1614年。

つまり、信繁は、
食べようとすれば、
そば切りを食べることができた時代にいたことになる。

もっとも、その頃の「そば切り」が、
どのようなものであったのか、
確かめようがない。
まだ、醤油が広まっていない時代なのだ。
どんな食べ方をしたのだろう。

江戸でそば切りが盛んになり、
今日のようなスタイルが出来たと言われるのが、
1700年台の半ばになってから。
だから、高野山の麓に蟄居させられていた信繁が、
そんな手間のかかる食べ物を、
わざわざ食べたのかは、
まったくわからないのだ、、、。

子供の頃にラジオで聞いた講談話というのは、
意外と覚えているもので、
信繁の兄、信之の妻の小松姫が、
ここ、沼田の城で、
敵方となった、昌幸、信繁を追い払う話なんぞ、
なんとなく目に浮かぶ。

沼田城には五層の天守閣があったそうだ。
それも、後に改易となった時に、
幕府によって取り壊されたとか。
私が行った時は、
とにかく深い雪で、
どこに何があるのか、よく解らなかった。

なにぶんにも、
歴史というのは朦朧としたものがあり、
なかなか、こうだとは言い切れないことが多い。
また、そこが、想像を巡らすことのできる面白さかも。

信繁は、そば切りを食べたのかなぁ。

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2017年2月15日 (水)

昨年の全国のそばの収穫量は18%減少。

昨年のそばの収穫量の統計が、
農林水産省から発表された。

それによると、
昨年のそばの収穫量は2万8500トンとのことで、
前年から18%減っている。
その割合を産地別に見てみると、
北海道が圧倒的な量を作っていて43%、
そして茨木7%、山形6%、長野6%、福井5%と続いている。

折しも昨年、一昨年は、
そばの業界でもいろいろと駆け引きがあったようで、
どこの粉屋さんも、質のいい玄そばを手に入れるため、
大変苦労をされたようだ。

昨年は、北海道も台風の被害にあい、
幾つかの産地では、収穫量がだいぶ減った。
また、長野でも秋の長雨の影響で、
ほとんど収穫できない畑も多かったと聞く。

北海道では、前年の77%の収穫、
長野県は76%とのこと。

それでも、そのくらいの減少ならば、
なんとかなるだろうと思っていたら、
もっと、重要な問題が、、、。

農産物の収穫量はよく、
耕作地10アールあたり、
どのくらい採れたかで比較される。

その10アールあたりのそばの収穫量は、
全国で、平均収量の82%。
つまり、同じ畑からいつもの年の、
五分の四の量の収穫しかできなかったんだね。

それが、北海道では77%、
長野では66%ということになる。

これがどういう意味かというと、
当然、採れた玄そばの質の低下を招くことになる。
豊作のときには、そばも元気よく育っているので、
勢い、質の良いものが多い。
でも、育ちが悪い時には、
どうしても、それなりのものになってしまうのだ。

挽いてみて、良い粉が採れないとのことで、
長野産の粉の出荷を、
取りやめてしまったそば粉屋さんもあるそうだ。

そんな状況の中で、
私のようなそば屋も、
それなりに選択を強いられていくのだね。
頑張って、質の良いそば粉を手に入れていくか、
それとも、そこそこのものを使って、営業を優先するか。

実は、昨年初めに、
そば粉が大幅に値上げになったのだが、
そのまま様子を見ていた。
この分では、元に戻りそうもないし、
安い外国産に頼っていた大手が、
国産そば粉を使い始めるという混乱もあるし、
その点を考えなくてはいけない時期に来ているのかもしれない。

こんな時に思い出すのが、
高田渡さんの「値上げ」という歌。
う〜ん、耳に痛いなあ。

Utiba2

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2016年12月17日 (土)

わざわざ食べに行きたい「ハイウェイそば」って、本当なの?

私は車で遠くに行くことが殆ど無いので、
全くこういう変化に気が付かなかったが、
近頃は、高速道路のサービスエリアが、
ずいぶんと変わってきているらしい。

ある、そばの雑誌に、
サービスエリアのそば店が紹介されていて、
なるほど、今は、このように変わってきているのだな、
と、今更ながら情報に取り残されていることを実感した。

以前であれば、どこのサービスエリアへ寄っても、
似通っている建物と、大手外食店による、
ごく当たり前のレストランがあっただけだった。
ところが、近頃は、テーマパーク並みに、
建物や施設に趣向をこらした場所もあるという。

高速道路内ということで、
トイレや休憩、簡単な飲み物や食事の提供という、
ごく実用的な目的ばかりではなくなってきているらしい。
地元の名物を売るのはもちろんだけれど、
話題になるスイーツや、
行列のできる食べ物屋さんもあったりするそうだ。

そして、本格的な手打ちそばの店も、
出来ているとか。

長い距離を、車で移動する時に、
ちょっと、そばで腹を満たすのは、
すごく合理的だと思う。
そばならば、腹にたまることもなく、
食後の眠気も起こりにくい。

私も、昔は、車で旅をするときには、
よく、そば屋に立ち寄った。
でも、サービスエリアにあるのは、
駅にある立ち食いそば屋と同じようなもので、
気軽に腹を満たす程度のものだった。

それが、今では、
かなり、気の利いたそばが食べられるらしい。
サービスエリアのような人がたくさん集まるところでは、
「手打ち」で対応するのは大変だろうと思うが、
やはり、こだわりを持つ、他の食べ物と合わせたりして、
魅力を高めているのだろう。

ただの、機能的なサービスエリアから、
楽しめる場所へと変わりつつあるのだね。
どちらにしろ、
質のいいそばが食べられる機会が増えることはいいことだ。
たまには、旅をしないとね。
時代に取り残されるかな、、、。

でも、サービスエリアには、
ほら、私の苦手なあれ、、、がないからな。
苦手だけれど、ないと、さびしいんだね。


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2016年11月25日 (金)

長野は急に冬になった。

長野は、急に冬に入ってしまった。

それほどの寒さではないのだろうが、
今まで、暖かい日が続いていたので、
そんな気がするのだ。
昨日の朝、起きてみると、
雪が積もっている。
天気予報では降ると言っていたが、
まさか、本当に降るとは思わなかった、、、

、、て、人の話を信じない私の性格。

これでは、せっかくの定休日なのに、
畑の大根もネギも、掘りに行けないのだ。

今朝も、氷点下の気温の中を、
自転車をこいで店まで来た。
古い手袋をしてきたので、
指先が痛むほどだ。

ついさっきまで、
暑い暑いと言っていたのに、
いつの間にかこんな季節になってしまった。
時間の流れが早いのは、
年を取ってきた証拠だろうなあ。

でも、
この寒さも悪いことばかりではない。

畑のネギは、
寒さに当たると、ぐっと甘みを増してくる。
薬味に使う辛味大根も、
辛さに甘みが加わり、
いわゆる「辛もっこり」とした味になる。
漬物にする野沢菜は、
何度か霜に当たると「のり」が出ると言われている。

植物は、それなりに、寒さに対応しているのだね。

すでに刈り取られて、保存されているソバの実も、
「新そば」などと呼ばれて、
チヤホヤされている時期をすぎると、
じつにしっとりとした甘みを感じさせるようになる。

これからの寒い季節が、
本当にそばの美味しい季節。

やはり、冷たいせいろでいただくのが一番。
と言っていたら、
お客様から反論が。
「温かいそばだって、甘く感じられるよ。」
とのこと。

とにかく、冬が、
そばの美味しい季節。
この違い、分かるかなあ。



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2016年10月24日 (月)

新蕎麦で俳句なんぞ

新そばの季節ですね。
で、新そばにまつわる俳句を紹介。


山国や新蕎麦を切る音疾し 
         
      井上 雪

新そばは、打っていても、滑らかさが違う。
確かに、切るときも、
トントンと気持ちよく切れる気がするね。
このそばを切る音が、
この時期の信州らしいと、
ラジオ局が、音だけ採りに来たりして。


新蕎麦の袋を縫いぬ赤き糸

      長谷川かな女

そば粉は、湿気を調整するために、
紙の袋に入れられ、店に届く。
その袋の口を閉じてあるのが、
赤と白の糸なのだ。
しっかりと縫い込まれているが、
赤い糸を引くと、
サッと、その縫い目がほどけるようになっている。

別に、新そばでもなくとも、
そのように縫った紙袋が届くのだが、
今日から新そばの粉だと思うと、
その赤い糸が、何故か、特別のものに思われるのだね。


新蕎麦やむぐらの宿の根来椀

         蕪村

ちょっと難解な蕪村の句。
むぐらの宿とは、草の生い茂った、
荒れ果てた家のこと。
根来椀といえば、
黒塗りに、朱のウルシを重ねた実用的な器。
さて、そこにどうして新そばなのか。
よく解らないけれど、
なんだか気になる一句。


そば時や月の信濃の善光寺

        一茶

こちらは有名な句。
信州のいいとこ取りというところ。

ということで、
とにかく新蕎麦をお楽しみいただければ。

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2016年9月12日 (月)

今年も北海道でそばの被害が、、、偏る雨の降り方。

今年の長野の夏は、
雨が少なく、畑の野菜の成長も今一つだった。
七月の梅雨の時期にほとんど雨がなく、
八月には三週間以上も、一滴も降らないことがあった。

空はいかにも振りそうな様子なのだけれど、
山の裾や、川の向こうは降っているようなのに、
私の畑は、カラカラに乾いているだけ。
週に一度の休みの日にしか水を運ぶことが出来ず、
それも、しれた量だ。
おかげで、ニンジンやレタスの芽が出ず、
きゅうりのつるは延びず、
冬瓜や錦糸瓜も、小さな実しか出来なかった。

こんな年もあるのだね。

と思えば、有り余る量の雨に苦しまされたところもある。
すでにお聞きのように、北海道では、
農作物に、甚大な被害がでたようだ。
そして、北海道といえば、
国産の半分近くを生産するそばの産地でもある。
折しも、そばの刈り入れ時、
どうしても被害は免れないだろうなあ、、
と心配している。

思えば三年前にも、
やはり、台風による大雨の影響で、
北海道産のそばがほとんど採れず、
価格が跳ね上がったことがある。
今年も、どうやら、先行きが不安定な様子だ。

今回は、十勝地方が大きな被害を受けたという。
そばどころの新得町では、
今月下旬に予定していたイベント「日本そば博覧会」の中止を決めたという。
一方、やはり大きな産地である北部の幌加内では、
今月初めに「新そば祭り」が開かれ、
こちらの方のそばは、順調のようだ。

どうしても、自然の影響を受けやすいのが、
そばをはじめとする、畑の野菜達。
適度な日照と、適度な雨。
それが続くのが一番いいのだが。

先日登った苗場山には、
標高二千メートルの山頂付近に、
広い湿地帯が広がり、
小さな池が点在している。
山の頂上に、
これだけの水があるのが、
なんとも不思議で、不思議で、
今でも、首を傾げている。

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2016年5月26日 (木)

私は「十割」より「二八」が食べたいなあ。

そば打ち名人と呼ばれる人に、高橋邦彦さんがいる。
当時としては珍しかった自家製粉のそばを打って話題になった、
山梨の「翁(おきな)」を作った方だ。
今では広島に「達磨(だるま)」という店と、そば打ち場を構え、
若い人たちの指導をおこなっておられるという。

その高橋さんが、普通に打たれるそばは、
十割ではなく「二八」なのだそうだ。
私も、一度、あるイベントでいただいたことがあるが、
すっと、喉を滑っていく、実に、素直な、キレイなそばだった。
自家製粉にありがちな、そばの強い香りが、様々な雑味が、
鼻に引っかかることもなく、
すっといただけた。

高橋さんのお話しによれば、
そばは、味ばかりではない。
食べやすさということも大切なのだという。
だから、そばの基本は「二八」なのだそうだ。

ある有名なそば屋さんも、
昔は、自家製粉の十割を売りにしていたのだが、
今は、割子の入ったそばに変えておられる。
つなぎ粉の入ったそばのほうが、
そばの味を高めることに気がついたからだという。

いわゆる老舗で、しっかりと修行した方のそば屋は、
けっこう「二八」にこだわっているところが多い。
様々なそば粉を試しておられる、
そばの業界の方々も、
そば粉の味とか香りばかりではなく、
多くの方に好まれている「二八」にした時に、
どんな食感になるかが、気がかりなのかもしれない。

もちろん、十割だって、技術的な難しさもあるし、
そばに向き合う事ができる。
そういうそば屋があることは、
もちろんいいことだ。
だけど、
「十割」のほうが「二八」より偉い!
みたいな言い方はどうだろうか、、、と思ってしまう。
そんなコメントを、頂くことが、まま、あるのでね。

あえて「二八」を選んでいるそば屋もあり、
「十割」だからといって、
質の高いそばとも限らない。
むしろ、そういうことにこだわらずに、
そばを楽しんでいただければと思う。

かくいう私も、休日の日にそばをたぐるのなら、
味の強い「十割」よりも、
端正に打たれた、のどごしの良い「二八」を選びたいなあ、、、
、、と思っている。

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2016年4月25日 (月)

そばの味を見るのなら、十割よりも二八。

そばの業界には、私のようなそば屋ばかりではなく、
様々な人、業態の人が関わっている。
そば粉を作る製粉屋さんだったり、
乾麺などを作る製麺屋さんだったり、
玄そばを管理する問屋さんだったり、
製粉の機械を作る会社の人だったり、
とにかく、様々な人の手を経て、そばは出回っている。

そういう、なかなか表にはでないが、
いわゆるそば業界関係者の方々には、
ものすごく熱心な方々がいらして、
幅広く、そばを食べ歩いたり、
試したりされている。

私なんぞ、自分で打つそばのことだけで、
偉そうなことを言っているが、
そういう方々の知識と経験には、
とうてい及ばないと思うことがある。

ただ、旨い不味いではなく、
実に客観的にそばを分析しているのだね。

知っている製粉屋さんにはそば打ち場があって、
こまめにそばを作って試しているし、
乾麺屋さんなのに
社員でそば打ちコンクールをしている会社がある。
そばを挽く石臼を作る会社の人も、
いくら物理的にいいそば粉を作っても、
実際にそばにして、食べて見ないと、わからないと言っている。

そんな業界の人達がよく言うのは、
そばの味を見るのには、
二八で打たれたそばがいい、とのこと。

あれ、
そば粉の味を見るのなら十割じゃないの、
と思ったら、
これがちがうのだよねえ。

どうして、
そばの味に厳しい業界関係の人達が、
十割ではなく二八というのだろう。

そばは十割でなければ、
と言うお客様もいる。
二八よりも、十割のほうが、
何か、「偉い」気がしてしまう。

でも、本当は、そばの味を見るには、
二八のほうがいいのだね。
いや、そば粉の質を見るには、、、
といったほうがいいのかなあ。

なんて話はまた今度。
世の中これからゴールデンウィークに入ってしまうので、
今度、、、がいつになるか、、すみません。

先日行った松代で見たハナモモです。
一本に、赤と白の花が混ざっている珍しい木ということで。


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2015年9月24日 (木)

今年のそばの価格が、、、沸騰している、、!

秋も深まり、いよいよ、新そばの便りが聞かれる頃だ。
まずは、北海道産の新そばが、出まわるのだが、
今年は、大きな災害もなく、
順調に収穫されていると聞く。
何しろ、昨年は、
全国的にそばの出来が悪く、
国産そばの相場が、ぐっと上がってしまったのだ。

今年はそんなこともなく、
安定した値段で取引されるのだろうなあ、、、
と思っていたら、そばの業界では、
とんでもないことが起こっているようだ。

北海道産の新そばの相場が、
取引している粉屋さんの話では、
えっ、、、、、、、、、、
と言ったきり、言葉が出ないぐらい上がっているという。

かくして、私のところに来る予定の新そばの値段も、
あっ、、、、、、、、、
といったまま口がふさがらない状態になってしまった。

今年のほうが、そばの出来がいいはずだ。
なのに、
どうして、
こんなに値段が上がるのだろう。

話を聞くと、
なんと、大手の食品会社が、
国産のそばを、買い集めているというのだ。
それで、相場が、ぐぐぐぐぐ〜ぅと、上がってしまったらしい。

国産のそばの生産量は、せいぜい三万トンから四万トン。
年によって変動が大きいが、
主に使われるのは、私のような手打ちをしているそば屋だ。
ほかの多くのそば屋、
あるいは、大量に使われる乾麺などの加工業者は、
国産に比べて、はるかに、はるかに安い、
中国産、あるいは、北米産のそば粉を使っていたのだ。

そんな大手業者が、
なんと、割高な国産そばの世界に手を伸ばしてきたらしい。
もともと大きな市場ではないから、
そんな大手が買い付けをすれば、
いかに豊作だといえど、あっという間に玄そばがなくなってしまうのだ。

これには、様々な原因もあるようだ。

今まで、とにかく安くて安定的に輸入されてきた、
中国産の玄そば、あるいはむき身の値段が、
安くはなくなっていることだ。
調べてみると、
中国産の玄そばの価格は、この十年間で三倍以上になっている。

経済発展の著しい中国では、
そばよりも、より、換金性のいい作物への転換が進んでいるというし、
ここのところの円安で、さらに、価格が上昇しているという。
ならば、イメージのいい国産そば粉を使った製品を、
作ってみるというのだろうか。

そばの価格が上がることは、
確かに、そば屋にとっては苦しいが、
日本のそば全体から見れば、けっして悪いことではない。
そばの農家にとっては、やりがいが出るし、
新たにそばを作る人も増えていくことだろう。
ただ、その消費が、大手の食品会社に頼っているとすると、
はなはだ危ないものがある。
もし、その会社が、国産そば粉を使うことを止めれば、
価格が暴落し、
困るのはその農家なのだ。

いま商社では、
中国以外のそばの輸入先を探しているという。
北米産は、ほぼ、契約栽培なので、
急には量を増やせない事情もあるようだ。
噂では、あくまでも噂だが、
インドとかブラジル、ミャンマーなどという国の名前を聞く。
ロシアや東欧諸国も、そばを多く栽培しているので、
そちらからの道も探っているらしい。

でもねえ、
周りを見渡せば、山ばかり見える長野。
山沿いには、空いている農地がたくさん見受けられる。
そんな外国からそばを持ってくるよりも、
そのような土地で、
少しでも多くのそばを栽培してもらうわけには行かないのだろうか。
山間部の畑ので作るそばに、
もっと補助金を出せば、
きっと頑張る人もいるだろうに。
昔のように、
見上げると、山一面に蕎麦の花が咲くようになるのに。

どこかの遠い国へ、
武器を持った人を送るより、
よっぽど、国が豊かになるような気がしている。

先週登った唐松岳では、もうナナカマドが紅葉していた。後ろは白馬岳。

Nanakamado

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2015年8月27日 (木)

久しぶりに感じた、夏のそばの匂い。

暑さのピークが過ぎ、
やおらに涼しい風が吹き始めた長野。
でも、まだまだ、晴れれば日差しは暑い。

先日、あるそば屋におじゃました。
そば粉を自分で挽いている店で、
その割に、気楽な値段でそばを楽しめる良心的な店。

そこのお店のそばを頂いて、
あっ、久しぶりだな〜、
という匂いを感じた。
昔は、もっと、こういう匂いの強いそばが、
この季節には、当たり前だったなあ、
、、てなことを、思い出させてくれたのだ。

秋に収穫されたソバの実は、
そのまま置いておくと、
梅雨の湿気にあい、
夏の暑さの中で、独特の匂いを持つようになる。
だから、今のような保存技術のなかった昔は、
夏のそばというのは、
あまり歓迎されなかった。

私の子供の頃も、
周囲の大人たちは、
「夏のそばはまずくて喰えねえ。」
などと言っていて、
子供心に、そんなものかと思っていた。
なにしろ、私としては、いつでも腹の減っている時代だったから、
うまいの、まずいの等と言っていられる場合ではなかったが、
確かに、夏のそばの、独特の匂いは、
いまだに記憶に焼き付いている。

たしか、その頃のそば屋は、
夏にはそばが売れないので、
「麦切り」を出していたような気がする。
つまり、冷や麦のことだ。
はははっ、50年は前のことだね。

今は、ソバの実も、
温度と湿度の管理された場所に保管されるようになって、
夏になっても、スッキリとした香りのそばが食べられるようになった。
むしろ、夏のそばの、特徴的な甘みが好まれたりしている。
若い人の中には、そばは、夏の食べ物だと、
思い込まれている方もいらしたりして。

そのソバの実の、保存方法にも、
色いろあるみたいで、
流通業者さんや、製粉屋さんでは、
それぞれに工夫をされているとか。
そんな、苦労のお陰で、
この季節でも、質のいいそばをお客様に提供できることに、
深く感謝しなければ。

ちなみに、
そのお店では、自家製粉ということで、
そばの実をどこかに保管していたのだろう。
そんな、保管の仕方で、
ほんの僅かではあるけれど、
昔の夏のそばの匂いが付いてしまったのだね。
でも、
それも、それで、そばの味わいのひとつ。
ほとんどの人は、気がつかないのでは。

そんな夏のそばの匂いを、
思い出させてもらえたなあ。
だからこそ、昔の人は、
あんなに「新そば」を待ちわびたのだねえ。

長野のソバ畑では、真っ白な花が咲き始める頃。
今年も、いいそばが穫れますように。
私の小さな畑では、鷹の爪が赤くなり始めたところ。

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