日本酒を美味しく飲んでいただくには?
先日、東京に行った時に、
東京駅周辺を少し見て回った。
駅周辺にある飲食店と言えば、
調理スペースの関係で、
ファストフード店ばかりかと思っていたら、
ある一角には、
名の売れた料理店が並んで出店している。
まだ、5時を少し過ぎたところなのに、
すでに、外で待っている人たちのいる店もあり、
人気のほどがうかがえる。
けっして安い店ではないが、
駅の近くで、
気軽に老舗の味が楽しめるようになっているのだね。
せっかくだから、
丸ビルの中にある、
かねてから名前を聞いていた、
和食ダイニングに入ってみた。
なるほど、店の中央に大きなカウンター席があり、
周りにテーブル席。
落ち着いた感じの造りだ。
全体に照明を落としてあるのは、
大きな窓から見える、
丸の内の夜景を取り込むためなのだろう。
あいにくと、
窓際の席は予約で一杯だったが、
広めのテーブル席で、
都会のひと時を楽しんできた。
料理は、思ったより素朴な内容のものだったが、
それなりの工夫のされたものだった。
都会の人には、かえって、
この素朴さが受けるのも知れない。
さて、メニューには、たくさんの日本酒もあったのだが、
今の季節に出回る、
ある銘柄の純米吟醸生酒を注文した。
私は、お酒は苦手なのだ。
でも、商売の勉強のためには、
我慢して、飲んでみなくてはならない。
黒いベストのお兄ちゃんが持ってきたのは、
先ず、三寸ほどの丸い皿。
そこに、ミニタンブラーを置く。
そう、一口ビールグラスとか呼ばれている、
あのグラスだ。
そこに一升瓶から、
トクトクとお酒を注いでくれる。
グラスがいっぱいになっても、
まだ注いでいる。
下の丸い皿に、
グラスから溢れた酒がいっぱいになって、
一升瓶の口が持ち上げられる。
あ〜あ、
とがっかり。
その注ぎ方を見てね。
せっかく、丸の内のおしゃれな雰囲気で酒を楽しもうというのに、
皿にまでその注がれた、そのお酒の周辺は、
新橋のガード下か、新宿の西口の、
大衆的な酒場のざわめきの中にあるようだ。
頼んだお酒は、
けっして安いものではない。
杜氏さんが、一生懸命作ったお酒だ。
この注ぎ方で、
その酒の持つ、
深い香りや味を楽しめるのだろうか、、、、
、、と、酒の苦手な私は思ってしまうのだ。
日本酒を大切にする店であれば、
持ち上げたグラスの底から、
皿に溢れた酒がポタポタと落ちるような、
こんな出し方はしないだろうなあ。
こんなお酒の出し方ひとつでも、
店の姿勢が見えてくる。
私も、酒を売っている身なので、
そこのところが怖いところだ。
あるそば屋さんは、
吟醸酒を頼むと、
備前焼の、口の小さな徳利で出してくれる。
焼き締めの肌が、酒の冷たさを感じさせるし、
口の小さな徳利は、
ぐい飲みに酒を注ぐまで、
その芳醇な香りを閉じ込めておいてくれる。
あっ、この店は、
お酒を大切にしている店なのだな、、、
、、と、酒の苦手な私でも思うのだ。
そんな酒の扱い方を、
私も、もっと学ばないといけない。
だから、苦手のお酒だけれど、
我慢して、いろいろな店で飲んでみよう。
ちなみに「かんだた」では、
グラスに酒は溢れさせていない。
まあ、お好みかもしれないけれど。
佐久の酒、亀の海「春うらら」
純米吟醸うすにごり生です。
最近のコメント