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2023年10月 6日 (金)

そばは釜で茹でる。当たり前だけれども。

そばを茹でる時に使うのは、
昔ながらの羽釜(はがま)だ。
米を炊く時に使う釜を大きくしたようなもの。
と言っても、
釜もかまども見たことのない人が多いのだろうな。
へっついの上に載せるもの、
と言ったって分かるまい。
へっつい、つまり、カマド自体を見かけないものね。

あるお弁当チェーンのシンボルマークに、
そんな形があったっけ。
私の子供の頃には、
もう普通に、
電気釜やガス釜があったから、
実際に、知っている人は少ないことだろう。

とは言っても、
まだ、カマドの残っている家もあり、
また、様々な仕事をしているうちに、
私も何度か火を起こしたことがある。

カマドの火を起こすには、
ちょっとしたコツが必要。

釜の底は丸くなっているのだが、
下からただ火を燃やして炊けばいいものではない。
カマドが温まったら、
焚き口のすぐ外で、薪を燃やすようにする。
そうすると、炎は、カマドの中に、
まるで吸い込まれるように燃えていく。

そして、釜には手前斜めから、
火が当たるようになる。
そうすると、釜の中の湯が、
手前から温められるから、
向こう側へぐるぐると回るようになるのだね。
お米を美味しく炊くには、
これが大切だとか。

今、店でそばを茹でる時に使っているカマドも、
同じ原理。

薪やコークスで釜を炊いていた時代は、
火加減が難しかったが、
今は、ガスで、微妙な調整ができる。
しかも、空気を強制的に送って、
火力を強めた、特別なバーナーだ。

この火を丸い底の手前に当てる。
そうすると、湯はこちらから奥へと、
ぐるぐると回り始める。
そこへそばを放り込めば、
縦にでんぐり返しをして、そばが回っていくことになる。
こうして、均一にそばが茹で上がるのだね。

家庭で使うような平鍋で、
下から全体に火を当てても湯は回らない。
こういう鍋で茹でる時には、
箸や揚げざるで、そばを回してやるようにしなければ。

この時、火が強すぎると、
そばがそばが浮いてしまって、
湯の中を回らなくなる。
だから、火加減の調整が必要なのだね。

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少し前までは、多くのラーメン屋でも、
この羽釜がつかわれていた。
茹で上がった麺を、平たい網で救って、
どんぶりに分けるところなんぞは、
いかにも職人的な技だった。

ところが、今は、てぼと呼ばれる、
細長いカゴに入れて茹でるところばかりとなった。
てぼを掛けやすいように、羽釜ではなく、
寸胴型の鍋なんぞを、
それも、場所を取らないように、
四角い鍋を使ったりしているね。

あらかじめ茹でてある麺を、
温めるだけの立ち食い蕎麦屋でも、
このてぼは大活躍。
しかし、手打ちの生そばは、
このてぼを使って茹でるわけにはいかない。

湯量のある大きな鍋で、
強火で、短時間で茹で上げるのだ。
だから、昔ながらの羽釜が、
今でも使われているのだね。

業務用のそば釜には、
羽釜の外側を覆うように、
水のタンクがあり、
バーナーの火の予熱で温められる。

昔の釜は、近づくだけで、
熱を感じたものだが、
今は、エネルギー効率も上がり、
釜自体が熱く感じられることはない。

ところがねえ、
聞く所によると、
そば屋の看板を上げながら、
釜のない店も、近頃はあるのだとか。
時代の変化に、
ついて行くのは大変だね。

 

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