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2016年3月14日 (月)

気をつけなければいけない経年劣化、、、あれっ、私のことかなあ。

休みの日に、ある中華料理店に入った。
ここは開店して5年ほど経つ店だ。
ご主人は、ある、高級店で修行した方で、
気楽な値段で、そんな料理が楽しめるので、
開店直後から、人気のあった店だ。

ところが、久しぶりに店の中に入ると、
何か、以前と違う気がした。
奥の席に座ると、どこからか、スエた臭いが漂っている。
メニューは変わらないのだが、
メニューブックは、だいぶよれよれになっている。
壁のビールのポスターは、
カドがめくり上がっている。
壁に這わせた、プラスチック製の植物の葉は、
前は鮮やかな緑色だったのに、
今は、褐色に見える。
天井には、エアコンの吹き出し口に黒い筋が。
手をテーブルに置けば、なにやらベトッとする。

相変わらず、店は忙しそうだが、
以前に比べれば、少しさびしいなあ。
そういえば、店員さんも少なくなっている。

さて話は変わって、
もう三十年以上もやっている焼き鳥屋さん。
昔はたまに来たこともあるけれど、
機会があって、十ん年ぶりに入ってみた。
以前と変わらない佇まい。
使いこなされた木のカウンターに、
そこから見える格子の戸棚。
どれも綺麗に磨かれている。

メニューボードも昔のままだけれども、
きちんと、新しい板で書き直されている。
人のことは言えないけれど、
それなりの歳を重ねて来たマスターも、
シャキッと、お客様を迎える姿勢が感じられるね。

食べ物屋は、
長く続けてこそ、
人の記憶に残り、そして、支えられて行く。
でも、
その店の風化は意外と速いのだ。
いや、店の雰囲気というか、
様々なものが、
あっという間に、時間に取り残されてしまうのだ。

料理の方に気を取られてばかりいれば、
そういうことを見逃すことになるのだね。
最初はキレイで居心地がいい店も、
放っておけば、そうではなくなっていく。
そういうものに、
お金と時間をかけていくことも、
料理をつくることと同じように大切なことなんだね。

などと言いながら、
我が店を見れば問題ばかり。
カウンターの電球は、天井から外れてぶら下がっているし、
その椅子も、ギシギシ言うし、
そろそろメニューブックも、キレイにしたいし、
座布団の丸洗いもしなければ、、、。
と思いながらも、なかなか進まない。

何しろ、一番問題なのは、
十年前の写真を、
堂々と掲げていることだね。
誰、この人、、、、と言われそう。
この人の経年劣化のほうが、
よっぽど著しい、、、、かもね。


 

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2016年3月 7日 (月)

最高級の昆布を使っても、そば自体はおいしくならない。

いい昆布からとった出汁は、
ほのかな甘味があって、
合わせるものを包み込むようなうま味が感じられる。

先日の京都の旅でも、
旅館でいただいた懐石料理にも、
随所に昆布のだしが使われていた。
観光地のうどん屋さんでも、
鯖寿司の店でも、しっかりと昆布が使われている。

さすがに、京都、いや、関西の料理は、
昆布の使い方が上手だねえ。

それに比べると、
関東では、あまり、こってりとした昆布の味は、
好まれていないようにも感じる。
どちらかと言うと、出汁を取るときには、
鰹の味を大切にするのかも知れない。

というような関係は、
よくわからないが、
そば汁と、昆布との関係、
これが、また複雑怪奇で、
やっぱり、よくわからないのだ。

以前やっていた店で、
汁に使う出汁を、いろいろと試したことがあった。
私は、昆布は日高で、
色の付く程度に、、と教わったのだが、
はたしてそれでいいのかなあ、
もっと、おいしい昆布を使えばいいのに、
と思っていたのだ。

昆布にもいろいろあるが、
いい出汁を取れるのは、
利尻とか、羅臼とか言われている。
そこで、利尻昆布を仕入れて、
しっかり、濃いめの出汁を取り、
そこにかつお節と合わせてそば汁を作ってみた。

じつに昆布の味が効いていて、
おいしいそば汁が出来たのだよね。
ちょっと塩っぱいが、そのまま飲んでも、
うまいんだよねえ、これが。

でも、その汁でそばを食べてみたら、
ゴホンゴホン、
汁のうま味が舌に絡みついて、
そばの味がよく分からなくなってしまった。
あれっ。

そうか、
あるそば屋のご隠居さんの言われた、
「うまい汁を作ってはいけない」、
というのは、
こういうことなんだねえ。

東京あたりの老舗のそば屋では、
昆布の出汁は使っていないところが多いそうだ。
関東の醤油自体がうま味の強いものなので、
そば汁として使うのには、
昆布の出汁に頼らなくてもいいのかもしれない。

とはいえ、
新しい店の中には、
けっこう昆布の出汁を使っているところもある。
残ったそばツユを、薄めのそば湯で割ってみれば、
伸びの良い昆布の味が浮き上がってくる。
その味が、そばに合うかどうかは、、、
ははは、召し上がる人の好みだねえ、今の世は。

ということで、
昆布に限らず、かつお節にしても、
いいと言われるものを使ったからと言って、
そばをおいしくするとは限らない。
そばよりも、汁が出しゃばってはいけないんだね。
そば汁には、その店の姿勢が出てくるもの。
材料ばかりでなく、ちょっとした工夫の積み重ねが、
汁づくりにはもっと、大切なこと、、、なんだなあ。

ということで、
専用鍋で、湯気を出して、そば汁を湯煎中。

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