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2015年1月27日 (火)

時代に取り残された、いや、取り残った宿で。

なにやら、近頃は、
古いものを見ると、やたらと懐かしく思えてくる。
いやだねえ、歳をとった証拠だ。

例えば旅行に行くにしても、
設備の整った建物や部屋は、かえって落ち着かない。
四角いきっちりとした部屋に寝かされると、
なにやら、ある種の病院に押し込められたような気がする。
だいたい、かすかなエアコンの音なんぞが気になって、
夜中に、何回も起きてしまうのが常なのだ。

それが、隙間風のあるような古い部屋に寝かされると、
朝までぐっすりと眠れる。
これは、歳のせいというより、
長年の貧乏性のせいかもしれないなあ。

ということで、
お休みを頂いて、
国の登録文化財に指定されている建物の、
実に古めかしい温泉旅館で過ごさせていただいた。

で、本当に古いのだよね。
階段の手すりはすり減っているし。

Masuya1
ガラス窓から見える風景は、
微妙にゆがんでいるし。

Masuya6

階段の板がすり減って、
滑りそうだし。

Masuya5
風呂場につながる廊下には、
古いポスターが貼ってあったり。

Masuya4
部屋の番号は、墨書きで、
釘で打ち付けてあったり。

Masuya7
なにやら、
昔はこうだったなあ、
みたいなことを、思い出させてくれるような宿だった。

お世話になったのは、長野は青木村にある田沢温泉の、
「ますや」という旅館だ。

Masuya8
ここ田沢温泉は、
お湯がぬるいことで有名。
それだけ長湯ができるということだ。
この宿でも、さすがに冬は多少の加温をしているとのことだが、
露天風呂なんぞ、一度入ったら、
30分ぐらいは上がることができない。
身体が温まらないのだ。

長湯の苦手な私だが、
この湯はのぼせる心配がないので、
ウトウトとしながら入ることができた。
露天風呂の横の笹薮に、
カラスがやってきて、
あんぐりと口を開いてこちらを見ている。
この寒空に、ぬるい湯に浸かっているなんて、
カアと声も出ないほど、あきれている様子だ。

この宿には、なんと、
島崎藤村が滞在したという部屋が残されている。
私の泊まった部屋の、
ちょうど向かいの建物だという。

Masuya3
おかげで、
私なりにのんびりと出来た冬休みだった。

地元、長野には、
まだまだ、いいところがあるのだね。

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2015年1月18日 (日)

カツオばかりがダシではない。

だし屋さんのカタログを見ていると、
実に様々のだしの材料がある。

まあ、広く使われているのはカツオだが、
それでも、荒節から枯本節、
小さなカツオを使った亀節、
最近は高イノシン酸タイプの枯本節も出ている。

他にも、宗田節、さば節、むろ節、まぐろ節、うるめ節、
さんま節、いわし節なんぞがある。

それぞれに、だしの出方が違うので、
その店の、その目的にあった節を、
あるいは、いくつかの組み合わせをして使う。

さらに、節の形によって、 だしの出方が違う。
例えば、カツオなら、
そば屋では、濃厚な汁を取るために、
厚削りをじっくりと煮出す。
料理屋では、豊かな香りの汁を取るために、
薄削り、つまり花かつおを使って、短い時間で仕上げる。

カツオの節の削る厚さによって、
味の出方も、煮出しの時間も変わってくるのだ。

最近では粉砕品もあって、
これは、短時間で濃い出しがとれ、
かつ、香りも残せるというもの。
香りをつけるには、粉末になったものもある。

だから、
汁を作るには、
実に様々な方法と、
組み合わせが考えられるのだ。

で、だしに使われるものはそれだけではない。
煮干し類や干物類もいいだしが取れる。

片口、うるめ、平子、あご、あじ、たい、えそ、かます、
いか、するめ、かき、あさり、しじみ、かいばしら、むきえび、
おきあみ、桜えび、しいたけ、、、、、。

ラーメンの世界では、こういう魚介類のだしが見直され、
ずいぶんと研究され、また挑戦されている。
それだけ、競争が激しいし、
また、成功した時の喜びが大きいのだろう。

でも、そば屋の世界では、
未だに「カツオ」一辺倒のようだ。
最近は、有名店のレシピも出まわっていて、
新しいそば店に行っても、
そば汁がかなり均一化されているような気がする。

「私は枯本節で汁を作っています。」
と、威張っていて、
その場所から動こうとしていない、、、印象もある。

いくらうまい汁を作っても、
そばと合わなければ意味が無い。
また、ラーメンなどの濃厚な汁に慣れたお客様の、
味の感覚も変わってきている。
それに合わせた汁づくりが求められるのではないだろうか。

などという私だが、
店の汁も、少しづつではあるが、
作り方や、材料を変えている。

個人的に言えば、
濃厚なトマトソースと、オリーブオイルで、
そばを食べるのが気に入っているが、
これはまあ、
個人的、、、というところに収めておいたほうが良さそうかな。

Katuo

 

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2015年1月13日 (火)

そば打ちはラテンのリズムに乗って。

  百人の蕎麦食う音や大晦日

などと、落語の枕に使われる、
古い川柳がある。
皆さん、年越しそばは召し上がりましたか。

さて、店としては、年末の年越しそばの用意から、
正月の賑わいへと、
一年でもっとも高い大波を、
なんとか乗り越えたところだ。
このブログの更新もできず、すみません。

ありがたいことに、皆様から、
年越しそばのご用命をたくさんいただき、
特に発送分は、早めに締め切らせていただいた。
だから、暮の30日と31日は、
店の営業は休み、
寒いそば打ち場にこもって、ひたすらそば打ちをしていた。

そば打ちを、一日に十回以上続けてやっていると、
なんとも、耳が寂しい。
といって、ラジオなんぞをかけていると、
つい聞き入ってしまって、気が散ることになる。
好きな音楽でもかければいいと思うが、
私の好みのジャズなんか、
マイルス・デイヴィスやビル・エバンスなんぞをかけてしまっては、
ある飲み物が欲しくなって、そば打ちどころではなくなる。
パソコンに入れてある、
若い時に好きだった曲も、
いろいろと思い入れがあるので、
その世界に入り込んでしまって、仕事が疎かになりそうだ。

村上春樹のある小説の中では、
いつも、パーシーフェイスを聞きながら仕事をしている、
クリーニング屋さんが何回か出てくる。
それならば、私はポール・モーリアでも聞きながらと思うが、
この種の音楽は、そば打ちにはテンポが合わないようだ。

最近は便利なもので、
インターネットを通じて、
気軽に曲を聞けるようになった。
それならば、ということで、
陽気なラテンの音楽を、そば打ちのBGMとすることに。

まずはグロリア・エステファン。
この人はアメリカで有名になったけれど、
キューバの出身で、
スペイン語の陽気なアルバムも何枚か出している。

そしてラテンの貴公子と言われたリッキーマーティン。
この人の歌は、パワフルでいいね。
一時は流行ったけれど、今はどうしているのかな。

そして、エンリケ・イグレシアス。
父親譲りの甘いマスクで中南米で人気なのだそうだ。
お父さんは、もちろん、日本でもおばさまたちにファンが多かった、
あのスペインの歌手、フリオ・イグレシアス。

次はカリブの島、ドミニカのフアン・ルイス・ゲラ。
この人の曲のリズムは独特でバチャータというのだそうだ。
世界的なヒットとなった「コーヒーの雨が降ればいい」は、
今聞いてもいいなあ。

で、ちょっと浮気してレゲエなんぞを聞いてみる。
もちろんボブ・マリー。
「アイ・ショット・ザ・シェリフ」なんて、一緒につぶやく。
えっ、警官を撃ったって。

それから、スペインの比較的新しいグループ、
ラ・オレハ・デ・バン・ゴッホ。
なんと「ゴッホの耳」という意味のバンドなのだ。
こちらは、ラテンのリズムにこだわらず、
幅広い音楽を聞かせてくれる。

という感じで、
そば打ちを終了。

皆さんにお送りした年越しそばに、
ひょっとしたらラテンの味が、混ざっているかもしれない。

でも、
年越しそばをご注文いただいているのは、
多くの顔見知りの、あるいは、メールや電話などで、
何回もやりとりをしているお客様。
そんな顔を思い浮かべながら、
一つ一つ、丁寧に、
打ったつもり。

遅くなりましたが、
みなさまにとって、
今年もいい年になりますように。

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