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2014年6月23日 (月)

「真」「純」「本」、手打ちそば屋は工夫しているけれど。

私がそば屋をやっているからかもしれないが、
「手打ちそば」の看板やノボリは、
けっこう、街中や郊外の街道添いに見かけることが多い。

あっ、こんなところにもそば屋さんがあるのだな、
などと、気づかされることもある。
最近は、居酒屋さんでも、
「手打ちそばあります。」などという看板を掲げているところもあるし、
近所の寿司屋さんにも「手打ちそば」のメニューがある。

観光地に行けば、
どう見てもイタリアンかカフェだろうと思われる、
白い壁の洋風の建物に、
「手打ちそば」の旗が風になびいていたりする。

これだけ「手打ち」が氾濫すると、
もはや「手打ち」の価値がなくなってしまったような気もする。

「手打ち」と言えばもちろん、
こね、のし、切りのそば打ち作業を、
すべて手作業でおこなうことだ。
しかし、中には、
こねにミキサーを使ったり、
のしにロールを使ったり、
切りに機械式のカッターを使っている、
「手打ちそば屋」さんもある。

どこまでが手打ちで、
どこからが機械打ちなのだかよくわからない。

あるテレビで、
「手打ちパスタ」の店を紹介していたのを見た。
どうやって生地を伸ばしていくのだろうと思ってみていたら、
こね上げた生地を、手動式のロール機、
(パスタマシーンと言うのだそうだが)、
にかけている。
薄く延ばされて、カットされて、パスタが出来上がるのだ。

なるほど、パスタの世界では、
こういう機械を使っても「手打ち」と呼ぶらしい。
それならば、そばだって、
手回しのロール機を使って作っても「手打ち」と呼べるだろう。
事実、そのような店もある。

だから、
本来の、麺棒を使って打っているそば屋の中には、
自分は、本当の「手打ち」をしているのだ、
機械式の道具をつかっていないんだ、
と言うことを強調したくなるところもあるようだ。
そうして、「手打ち」の前に、
「純」を付けたり、
「本」「本格」「本当の」などという言葉を付けている店名を見かける。
先日は「真」という字がついている店を見かけた。なるほど。

なんだか、温泉地のまんじゅう屋の、
「元祖」「本家」「根元」のつばぜり合いの様な気もしないではないが。

まあ、いつも書いているけれど、
そばを作るのに、
「手打ち」だから「おいしい!」と言うことはない。
下手な手打ちよりは、
そばを知っている人が機械で作る方が、
ずっと、上質なそばが出来るのだ。

なのに、
そばの世界では、
「手打ち」の氾濫である。
すでに、値崩れをおこしていて、
あまり価値観を感じなくなっているようだ。
真面目に作っている人は、
大変な作業をこなしているのにね。

実は江戸時代にも、
「手打ちそば」という言葉はあったという。
機械のない時代に、
なんで手打ちそばなのだろう。
それは、巷にあふれた質の悪いそばではなく、
きちんとした店構えで、上質なそばをお出ししますよ、
というそば屋が使った言葉なのだそうだ。

だから「手打ち」を掲げる店は、
その作り方はともかく、
すっと、背中を延ばして、
お客様に真っすぐと立ち向かう姿勢が求められるのではないかな。
たとえ、そば打ちが、上手であっても、下手であっても、、、。

まあ、最後は、お客様が判断なさるのだろうけれど。

先日も、ある居酒屋で、
手打ちそばをいただいた。
予想より、しっかりと打たれたそばで、
充分に楽しませていただいた。
冷凍されたそばを流水解凍して、
やたらに飾りまくって出す店より、
よっぽど、気が利いている、、と思う。



Soba

 

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2014年6月16日 (月)

あえて入りづらい入り口〜お客様にはご不便をお掛けしております。

「かんだた」は、長野の街の中の路地にある。
表通りを歩いているだけでは、
ちょっと気がつかない場所だ。
しかも、道路から10メートルばかり入った突き当たりという、
いかにも入りづらい店なのだ。

どうして、こんなところで店を開いたかというと、
そば好きな人に、わざわざ来ていただく場所にしたかったからだ。
通りがかりで入れるような、
便利な場所ではなく、
落ち着いてそばを食べたい!!!
という思いのある方に来ていただくために、
あえて、目立たない店にしたのだ。

店を始めた頃は、
いつも静かであったが、
おかげさまで、この頃は、
そこそこと賑わうことも多くなってきた。

最近はネットの影響もあり、
わざわざお越しいただく方が増えた。
ありがたいことだ。
でも、
知る人ぞ知る店、、、だけでなく、
知らない人も知る店、、、、になってしまったようで、
少々、雰囲気が変わってしまうこともあり、
気を揉むこともある。

「かんだた」は街中の路地裏なので、
すぐ近くには駐車場はない。
便宜上、近くの有料駐車場に停められた方には、
サービス券をお出ししている。

最近はカーナビがあって、
店のすぐ前まで誘導してくれるので、
店まで来てから、駐車場を聞かれる方も多い。
時々、車の中から電話してきて、
駐車場をお尋ねになる方もいる。
ご案内すると、
「えっ、そんなに遠くなの?」
と言われて、そのままお帰りになる方も、
中にはいらっしゃる。
先日などは、
「どうして店の前に駐車場がないんだ!」
と、怒られてしまった。

あえて、
そのような便利さを排して、
私の店があることをご理解いただきたいのだが。

また、
どうしても、混雑時には、
外の通路でお待ちいただくこともある。
暑いときや、寒いときには、
ずいぶんと申し訳ないけれど、
なにしろ20人も入らない小さな店なので、
外で待っていただくより他はないのだ。

けれども、時々、「店の中で待たせろ」と、
言い張る方もいらっしゃる。
店内には待つスペースがないこと、
中のお客様が、ゆっくり出来ないことを説明するのだが、
なかなか納得していただけない。
ずいぶんと時間を取られた上に、
スタッフに悪態をついて帰られる方もいる。

また、
最近は、
大人数での来店、おおむね7人を超えるグループには、
お断りすることもある。
そば好きな方ばかりならば良いのだが、
大人数で来られた方には、
ただ、ついて来られただけの方もいて、
「鍋焼きうどん」「天丼」などと、
私の店では聞いたことがないようなオーダーが出てきたりする。
店内禁煙を、
ぐずぐずと文句を言う方もいた。
そうして、大人数と言うのは、
すべてではないが、
どうしても大騒ぎをしたくなるものなのだ。

「かんだた」は小さな店なので、
他の大きな店のやっているような、
誰でもいらっしゃい〜〜のようなサービスは出来ない。

それでも、そば好きな方に、
落ち着いてそばを味わっていただきたいと思っている。
駐車場から歩いていただき、
外でお待ちいただくような、
そんなご不便の中を、お越しいただくお客様には、
誠に感謝に絶えない。

そのようなお客様のご期待に沿うように、
もっと、工夫をしていかなければと、
思っているのだ。

ついでに書いとくが、
「かんだた」では、
大金持ちのご来店もお断りしている。
なぜなら、
「かんだた」には、
自家用飛行機で来られても、
専用の飛行場がない、
ヘリコプターのヘリポートもない。
店内に執事の待合室がない。
豪華クルーザーで来られても、
専用の桟橋もない。

馬やゾウや、キリンに乗って来られても、
つないでおく棒がないし、
長さが十メートルのあるリムジンに乗って来られても、
先の角を曲がることが出来ない。
チップをたくさんいただいても、
それを入れる頑丈なカバンがない。

と言うことで、
皆様には、ご不便をお掛けしているのだ。
勝手な店ですみません。

Puerta

 

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2014年6月 9日 (月)

麺棒は尾州檜(びしゅうひのき)、切り板は銀杏(いちょう)。

かねてから頼んであった麺棒がやっと届いた。

私は、体型に合わせて、手が小さく、指も短いので、
やや細めの麺棒を使う。
おまけに、華奢(きゃしゃ)な身体なので、
出来るだけ軽いものを選んでいる。

今回来た尾州檜の麺棒は、
計って見ると、何と180g。
今までで一番軽いではないか。

昔使った赤樫(かし)の麺棒は600gぐらいあったから、
その三分の一の重さとなる。

なにしろ、出来るだけ楽をして、
そばを打とうという横着者の私だから、
転がす力が少ないに越したことはない。

が、どのようなそばを打つかによって、
麺棒の種類も違ってくるのは確かだ。
確かに、カシやサクラのような固い麺棒を使うと、
均一な麺線を得られやすい気がする。
しかし、微妙な厚みを調整しくくなる、
つまり、生地の歪みを吸収できず、
先端を揃えるのが難しくなる、、、気もする。

どちらにしろ、
そんなにたくさんの麺棒の種類を打ち比べていない私は、
あまり、このことについて、偉そうなことは言えないのだ。
(一度、いろいろな麺棒を並べて、
打ち比べてみたいものだ、、、!)

とにかく、
比較的細めのそばを打つ私には、
軽めで、しなやかなヒノキが合っているようだ。

今回は、
そばを切るときの板も新しくした。
今までは、比較的安価な米ヒバを使っていたが、
どうも、刃の当たる感じが柔らかすぎる気がしていた。
そこで、今回は、
日本料理のまな板によく使われる、
銀杏(いちょう)にしてみた。
特に変わりは感じないが、
今までより、包丁の弾みがいいような気がする。

銀杏の板は、木目がはっきりしないので、
包丁の当たりが良いし、
水に強く、匂いがないので、
和食のまな板として、重宝されてきたものだ。

新しい麺棒と切り板に変えてから、
そばが細くなりましたね、、
と、スタッフに言われた。
いや、特に意識したわけではないのだが、
不思議だなあ。

打ち場ののし板は「カツラ」
麺棒は「尾州ヒノキ」
切り板は「男イチョウ」
駒板は「キリ」に「サクラ」の刃当たり
そばを仕舞う生舟は「ヒバ」

それぞれの木に特質があるのだ。
幅広く、そういう木材を活かせるように、
私も、もっと学ばねば、、、
と、思うところ。

Menbou



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2014年6月 3日 (火)

打粉もそばのうち。

前回にも書かせていただいたが、
手打ちでそばを打つ時に、
大切な役割を果たすのが打粉(うちこ)だ。

そばを延ばす時に、
生地の表面に常に均一に、
かつ、出来るだけ薄くまぶしていく。
そばは、延ばすにつれて、
表面積は増えていくから、
打粉を少しずつ足していかなければならない。

また、切る時には、
切り板の上にも、
たっぷりの打粉を振っておく。
包丁で切った切り面に、
すぐに、粉がつくようにしないと、
切ったそばが、再びくっついてしまうからだ。

高倍率のルーペで生地を見ると、
なるほど、打粉がそば生地の表面に、
凸凹となって張り付いているのが分かる。

そば生地の水分を、
すぐには吸おうとしないので、
つぶつぶのまま残っている。
そして、
茹でた時に湯の中に落ちて、
そば湯を濁らせるのだね。

だから、
そばを打ち終えれば、
余分な打粉はよく払ってから、
生舟と呼ぶ箱にしまっておく。
もっとも、打粉が麺の表面についていることに依って、
乾燥などを防げるそうだから、
あまり、払いすぎてもいけないようだ。

この実に役に立つ打粉なのだが、
どのように作られるのだろう。
そば粉が違うように、
この打粉も、
製粉屋さんによって、
微妙に感覚が違う。

以前は「端粉(はなこ)」と呼ばれ、
そばを臼で挽いた時に、
最初に出てくる粉を使ったそうだ。
今でも、そういう粉を一番粉と分けて、
打粉にしているところもある。

だが、一般的には、製粉工場では、
打粉は、そば粉とは別の工程で作られているそうだ。
そばを挽く時には、
そばの実を大きく割ってから、
ふるいに掛け、大きく割れた部分を使ってそば粉を作る。
その時ふるい落とされた粉、
つまり、そばの実の胚の周りについていた部分を取り出して、
打粉を作るそうだ。

打粉は、白く見えるが、
よく見ると、一番粉や更科粉の白さと違って、
やや黒い部分があったりする。
この打粉でそばがきを作ってみても、
ほのかな甘みはあるものの、
そばそのものの香りには乏しい。

そばの実から、
味のない部分だけを、
取り出したようなものだね。
しかし、
粒を揃えてやや粗めに挽かれることで、
打粉として、
そばの打ち場では大活躍しているわけだ。

そば打ちを趣味にしているある方は、
そばを打っている途中で、打粉がなくなってしまった。
そこで、台所にあった片栗粉を使って打ったのだそうだ。
なんとかそばは出来上がったのだが、
茹でてみたら、、、、
そば湯がとろとろになってしまった、、、とか。

そういうときは、
せめて、小麦粉(薄力粉)にしましょう、、、。
いや、やったことはないので、
どなたか試して下さい。
という、相変わらず無責任な私です。




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