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2013年10月29日 (火)

プロの食べ方。食いしん坊の食べ方。

さて、小さなお子様は、
食べ物を口全体に頬張って召し上がる。
これは、舌ばかりでなく、
口全体に味を感じる神経があり、
無意識に、そういう食べ方をされるのだね。

などと言う話を、
前に書かせていただいた。

大人になると、さすがにそういう食べ方をせず、
舌だけで、味わうようになってしまう。

舌には、味を感じる神経が集中しているから、
それでも充分なのだね。

でも、
大人になっても、
口全体を使って、食べ物を味わう人たちがいる。

若い頃、
スキー教師の研修会でご一緒した、
ある調理師学校の先生方の食べ方がそうだった。
なるほど、プロの料理人は、
こういう味わい方をするのだなと、
感心した覚えがある。
何と言うか、食べ物を、
口の中でぐるぐると回すような食べ方をされるのだ。

テレビで見た、
中華料理の達人もそうだったし、
スペインの有名レストランのシェフも、
味見のときに、
このような食べ方をしていた。

そういえば私も、
ある食べ物屋にいた時に、
親方から柄杓(ひしゃく)の柄で叩かれながら、
口を広く使って汁の味見をすることを教わったっけ。

居酒屋をしていた時、
大手食品会社の営業の人に連れられてきた、
開発担当の方。
営業の人が言うには、
「この人すごいよ、なんでも味が分かっちゃうのだから。」
とのこと。
ご本人は、
「いや、飲む時には忘れることにしています。」
と、おっしゃっていた。

ところが、
ある料理を出したら、
その人の口が、文字通り、
洗濯機みたいにくるりと回った。
そして、その材料から調味料までを、
見事に言い当てたのだ。
普通の人には、
ちょっと、気づかないような材料を使っていたのにね。

こういう方々は、
特別な訓練を積まれているのだろう。
感性や経験だけで、
到達できるものではない。
そういう、
自分の舌で、いや口で、
食べ物を分析出来る人がいるのだね。

三年ぐらい前に、
店にいらしたお客様も、
まさに、そのような食べ方をされる。
気になっていると、
お客様の方から声をかけていただき、
話を聞くことが出来た。

そうしたら、
なんとその人は「匂い」のプロ。
いや、最近定年になった、
「匂い」のプロだった方だと言う。

「この鼻だけで、
メシを食わせてもらいました。」
とおっしゃる。
けっして「香り」と言わないところが、
なんとも実務的。
なんでも、工業製品の匂いを、
ずっと、調べてこられたそうだ。

そうして、当然のごとく、
食べ物の匂いにも敏感になられるそうだ。
食べ物屋に入ったとたん、
その店で使っているものがお分かりになるという。
〜〜怖いなあ。

もちろん味にも敏感なのだろう。
ああいう召し上がり方をされるのだから。

このような方もいらっしゃるのだ。

でも、
皆さんは、
あまりこういう食べ方をまねしない方がいい。

彼女との初デートで、
しゃれたレストランで(もちろんそば屋だっていい)食事をした時に、
このような食べ方をしていたら、、、
、、、おそらく、二回目のデートはないだろうなあ。

まさに、
食いしん坊の食べ方なのだ。
見ていて、あまり、上品な食べ方とは言えない。

でも、事情が許せば、
舌ばかりでなく、
ときには、口全体で食べ物を味わってみれば、
同じ食べ物でも、また、違うおいしさを発見できるかもしれない。

開高健のいう、今まで知らなかった味、
「新しい天体」と、
出会うことができるかもしれない。

まさか私、
無意識にそういう食べ方、
食いしん坊的食べ方を、していないだろうなあ、、、、。
自分じゃ分からん。

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2013年10月22日 (火)

今年のきのこは?

九月中頃から、
長野はずっと雨が降らなかった。
畑に蒔いた種の芽が出ず、
ナスなどの夏野菜も元気がなく、
困っていたところだ。

そのため、なんとかしようと思い、
先週は、
雨乞いのために、
黒姫山に登った。
山頂で、どうか、
この乾いた長野の大地に雨をください、
とお願いしたところ、
何と効果てきめん。
標高二千メートル余りの山頂から、
下り始めたとたんに、
念願の雨が降り始めたのだ、、、、

、、台風が近づき、
荒れ模様が予報されているのに、
わざわざ、そんな山に登るへそ曲がりも居るんだね。

Kinoko2

ほら、山頂の石のほこらも、
強い風を受けて傾いている。

稜線はガスと強風で、
見晴らしも利かない有り様。
おまけに、雨合羽を着ての下りとなった。

Kinoko4

それでも、
山の木々は、秋の気配を濃くしていた。
笹と針葉樹ばかりのこの山道で、
枝からぶら下がるマユミの実の赤さが、
心を和ませてくれた。

Kinoko5

この時期の山歩きの楽しみといえばキノコだ。
私はそんなに詳しい訳ではないが、
いくつかの食べられるキノコを知っている。
そんなキノコが登山道の近くにでもあればいいなと思って、
びくをぶら下げていったのだが、
結局、空のまま帰ってきた。

連休の後のせいもあるし、
私の目が悪いせいもあるし、
キノコの生えにくい山だったのかもしれないし、
よくわからないが、
とにかく、
食べられないものも含めて、
黒姫山の中で、キノコを見つけることができなかった。

唯一あったのがこちら。

Kinoko

これはスギタケの幼菌。
まだ2センチぐらいの大きさ。
これでは採ることはできないなあ。

先月は、
上田地方でマツタケが豊作ということで、
私も、ほんの少し、久しぶりの味見をすることが出来た。
この分では、
山のキノコも豊作だろうなあ、
と期待していたのだ。

ところが、
雨が降らなかったことが影響したのだろうか、
誰にきいても、
キノコが出ていないというのだ。

いつも、地元で採れたキノコを扱う八百屋さんでも、
店先には、ごく少ししかなく、
それも、恐ろしく高い値段で売られている。

やはり、
少ないのだろう。

山のキノコは、
リスクの伴う食べ物。
でも、この季節に、
一回か二回は味わってみたいもの。

私たちの祖先は、
長い時間をかけて、
食べられるキノコと、毒のキノコを、
その身を以て試しながら、
仕分けしてきたのだ。
その知識を、
受け継いでいかなければ。

ということで、
自分でも山に行って採りにいきたいが、
もうそんな時間がない、、、
のが残念。


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2013年10月14日 (月)

小さなお子さんは、口全体を使って、そばを召し上がる。

気温が30度を超える、
暑い日が続いていたと思ったら、
急に涼しくなって、
朝には10度を切るようになったこの長野。

前日までクーラーを使っていたのに、
慌ててコタツを用意した、ご家庭もあったとか。

この季節、長野周辺では、
そばの刈り取りの季節。
いろいろと話を聞くが、
全体としては、そばの実の付きが良く、
例年より早めの収穫となったようだ。
これからの、長野産の新そばも、
楽しみなところだ。

さて、この連休にも、
多くの方にご来店いただき、
有り難いかぎり。

中にはご家族でお越しになった方々もいらっしゃって、
小さなお子様が、そばを召し上がっていただくのをみると、
とても、うれしい気分になる。

カウンターにいらした、
小学校に入ったばかりぐらいの女の子も、
せいろを一枚、ぺろっと平らげていた。
いやー、その食べ方の、
なんとも、頼もしいこと。

女の子は、
夢中で、そばを、口の中に手繰り込んでいる。
口をいっぱいに使ってね。
まるで、
身体全体で、そばを飲込もうとしているみたいだ。

そばに限らず、なにかものを食べる時に、
小さなお子様は、
このように、口全体を使うような食べ方をするようだ。

こういう食べ方が、
大人になってしまうと、
なかなか出来なくなってしまうんだよね。

口の中には、
味蕾(みらい)という、味を感じる組織があるらしい。
これは、人間の持つ防衛機能の一つ。
変な味のする食べ物、
つまり、身体を害する恐れのあるものを、
食べないようにするために、
備わっているらしい。

そのおかげで、
私たちは、食べ物のおいしさも、
感じることが出来るのだね。

その味を感じる味蕾が集中しているのが舌。
だから、舌を使って、
食べ物を味わうことが出来る。
ところが、
この味蕾というもの、
舌ほど集中してはいないけれど、
口の中に広く分散してあるのだそうだ。

また、口の中には、
細かい神経も発達していて、
食べ物の中の異物、
例えば、小さな魚の骨なんぞを、
ちゃんと、探し出すような機能もあるという。

どうも、
私なんぞも、
舌先だけで食べ物を味わったつもりになって、
先入観や経験、視覚、雰囲気なんぞで、
「うまい」とか「まずい」とか、
決めつけているのかもしれない。

こんな子供たちの食べ方を見ていると、
そばというのは、
舌先のうまさばかりでなく、
「口の中感覚」というようなものが、
あるのかもしれないと思ってしまう。

でも、
大人になっても、
こういう、
口全体を使った食べ方をする人が居るのだよね。
そんな話は、、、、また次回に。


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2013年10月 7日 (月)

そばは、箸を縦にして、上からつまむと格好良く食べられる。

カウンター越しに、
皆さんのそばの食べ方をみていると、
実に様々だ、、、
ということを前回書かせていただいた。

そんな、そばの食べ方は、
人それぞれなので、
うんぬんと言うべきではない。
しかしながら、
少しでも、かっこ良く、
今風に言わせてもらえば、クールに、
昔風にいえば、粋(いき)に、
そばを召し上がっていただくために、
ちょっとした、ヒントを。

いえ、けっして、
こういう食べ方をしなければならない、
という訳ではないので、お気楽に。

そばを食べ慣れている方は、
せいろから、
そばを手繰っては、
リズムよく口にすすり込んでいく。
ところが、
そばを、せいろから手繰り上げるのに、
苦労をされている方も、
けっこういらっしゃる。

すくいあげようとすると、
そばが団子になってしまったり、
思いのほかたくさんのそばを掴んでしまったり。
そうして、何度もすくい直しながら、
そばを召し上がっている方を、
多く見受けられる。

これは、箸の使い方の問題。

上手にそばを手繰る方は、
箸を縦にして、つまり、上からそばを掴む。
ちょっと手間取る人は、
箸を横にして、横からそばをすくいあげる。

この違いなのだ。

これは、
せいろにそばを盛るとき、
私たち職人は、
少しずつ、平らに拡げるようにして、
そばを、重ねるようにするからだ。

つまり、上からつまんでいただくことを想定して、
そばを盛りつけている訳だ。

だから、
せいろに盛りつけられたそばは、
真ん中から、
上から箸で掴んでいただくと、
すっと、きれいに、手繰ることが出来るのだ。

それが、
まるでカレーライスを食べるみたいに、
せいろの端っこに、
横から箸を入れてしまうと、
そばは、絡まってしまうのだ。

だから、
せいろそばを食べる時は、
せいろの真ん中から、
お線香を立てるような気持で、
箸を立てて、
手繰っていただくのが一番。

もちろん、
こんなことは、
そば好きの方々には、
自明のことだろう。
私なんぞ子供の頃、
そば屋で、近所のおじさんに、
「江戸っ子がそんなそばの食い方をするんじゃねえ!」
って、
頭を叩かれながら、
そばの食べ方を覚えたものだ。
昔の人は、乱暴だったなあ。

さて、
そば屋は、
ちゃんと食べる人のことを考えて、
ちょぼちょぼと少しずつつまんで、
せいろにそばを盛る訳だ。
ところが、忙しいそば屋なんぞでは、
そんなことをしないで、
一手盛りで、
つまり、ひと掴みにして平らにならしたり、
山形にして盛る店もある。
こういう盛り方をされると、
いくら、箸を縦にして上からつまんでも、
そばが、すっと手繰れないのだ。

そんなことでも、そば屋の姿勢が、
ちゃんと分かってしまうんだね。

ということで、
私もきちんと、そばを盛らなければ。
皆さんも、ぜひ、
そばは上からつまむことに、
お試しを。


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