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2012年3月16日 (金)

なかなか消えない「大天狗の鼻」。

やっと確定申告が終わりました。
書類の作成中にはブログの更新ができなくて済みません。
もっと早くからやろうと思っているのに、
いつも間際になって慌てる私です。

さて、前々回の続き。

私が開いた居酒屋でそばを打ち始めて、
お酒をお飲みになったお客様に食べていただいていた。
二、三年もすれば、そば打ちにもすっかり慣れて、
もうちゃっかりベテラン気分。
ちょっと、お客様に喜んでいただけるからって、
そばのことを、何でも知っているような気になってしまった。

そうして、他のそば屋さんを食べ歩いては、
ああだこうだと、悪口ばかり言うようになってしまった。
つまり、内心では、、
「俺の方がうまい、、、。」
などと思うようになってしまったのだねえ。
すっかり「大天狗」。

ある時、お客様に「行ってみるといいよ」と、
新しいおそば屋さんを勧められた。

どうせ大したことはないだろうと思って行ったのだが、
他の店とは、雰囲気が全く違う。
詳しいことは省くが、
出て来たそばを見て驚いた。
手打ちとはいえ、きれいに揃えられた、
細打ちのそばだったのだ。

私も、細めに打っているつもりではあったが、
ここまで細くない。
だいいち、私のそばは、もっと太さがバラバラだ。
「手打ちだから、揃わなくて当たり前。」
と言い放っていた私は、
単なるへたくそだったのか。

それからそこのご主人少し話をして、
聞いたことは、私に判らないことばかりだった。
「えっ、自家製粉?」
「メッシュを使い分ける?」
「丸抜きと大割れの違い?」

帰ってから、そばの本を買い漁ったねえ。
それからが、本当の意味で、
私のそばの勉強が始まったのかもしれない。

話は変わるが、
私のやっていた居酒屋に、
ある有名な料理人の方が何回か見えたことがある。
たまたま、近くに、その方の指導しているレストランがあったので、
オーナーが連れて来てくれたのだ。

いつも、野球帽を目深にかぶって、とてもラフな格好をしているので、
他の人も、テレビで有名なその方とは気づかれなかったみたいだ。
私の店なんて、場末の、大した料理など無い店。
ただ、近所の人たちが、気楽に寄っていくようなところだ。

ところがその有名な料理人は、
必ずカウンターに座って、私がなにか調理をしていると、
ぐっと立ち上がって、私の手元を覗き込むのだ。
その目つきの鋭いこと。

たとえ、私のような店でも、
最初から馬鹿にしたようなそぶりは見せず、
なにかあったら、
少しでも、参考になるものがあったら、
自分のものにしようとしているのだ。

そんな気迫を、椅子から立ち上がって覗き込む、
その料理人から感じた。
なるほど、プロになるということは、
こういうことなのだ。

それから、他の店にいった時に、
見る目が変わってきた。
批判するのではなく、
参考になるものを探すようになった。
言い方が悪いが、
盗めるもの、もらえるものが、
その店の中に無いか探すようになったのだ。
(決して、物ではありませんからね、お間違いなく。)

さてさて、
本当に何も知らなかったのに、
すっかり大天狗になっていた、15年ぐらい前の私。
恥ずかしい限りだ。
でも、一度育った天狗の鼻は、なかなか折れてなくならない。
今でも、自分では見えないけれど、
しっかりくっついているのかもしれない。

あと、十年したら、
あのときは、あんな恥ずかしいことをしていたなあ、
こんな恥ずかしいことを書いていたなあ、
と思うのかもしれない。
いや、そう思うように、日々、前に進まなくては。

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コメント

いつもおいしい「そば」をありがとうございます


なるほど、そのような過去があるからこそ
現在の「かんだた」さんがあるのですね

私は「そば」が大好きなので
東京の老舗や有名店、善光寺周辺、長野、戸隠、黒姫、などで
今まで、おいしい「そば」を求めて、色々な店で食べてきましたが
期待外れの店が多く「日本一」と思えるような店はありませんでした

しかし「かんだた」さんは
「そば」の味、「その他」の料理、「真摯さ」「丁寧さ」
すべての面において、私の中では「日本一のそば屋」です

まさに「誰にも教えたくない」お気に入りの「そば屋」

残念な事に「長野市の飲食店」は
利益の為に「味」を落としていく店が多いのが特徴なので
観光客の方などにも、評判が良くないですが

現在の「かんだた」さんは
信州を代表する「優良店」だと思います


これからも期待していますっ!!

投稿: 長谷川 | 2012年3月18日 (日) 07時00分

こんばんは。

心の中で思っていても、表には出しにくい、というか表現しにくいことが書かれていますね。
最後の一行は特にグッとくるものがありました。
私もそういう意気で生きたいものです。

それではまた。

投稿: 所沢太郎 | 2012年3月19日 (月) 01時24分

長谷川 さん、こんにちは。

ありがとうございます。
そんなに褒められると、どこかの見えない天狗の鼻が、また高くなってしまいそうです。
ご期待に添えるように、努力していくつもりです。

投稿: かんだた | 2012年3月19日 (月) 06時13分

所沢太郎 さん、こんにちは。

いつもありがとうございます。
なかなか文を書くのは難しいですが、少しでも伝えられればと思います。
人生、常に勉強ですね。
またよろしくお願いいたします。

投稿: かんだた | 2012年3月19日 (月) 06時20分

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