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2011年2月24日 (木)

味見は口の中全体で。

スキー場のあるホテルで働いていた若い頃の話。

調理場の親方が私を呼んで言う。
「ちょっと、その汁の味を見てみろ。」

ええっ、なんで私に?
と訳の判らないまま、他の人がするように、
小皿に汁をすくって、
唇を尖らせて、恐る恐る汁をすすってみた。

そのとたん、
木の柄杓で、コツンと頭を叩かれた。

「そんな味見の仕方があるか!」
イタタタ、、急にそんなこと言われたって、、、、。

「いいか、味見というのは、
口の中全体でするのだ。
そんな風に、口をつぼめて、
少しばかり汁をすすったところで、味が判るか!」

と言って、親方は見本を見せてくれる。

「味見には、ある程度の量が必要。
そして、口を縦にするのではなく、
横に大きく広げるようにして、
舌全体に、汁を転がすのだ。」

なるほど、親方は、
口を尖らせることなく汁を口に含み、
唇を横に引っ張ったり、戻したりして、
味を見ている。
口全体で味を感じているんだね。

私もまねしてやってみたら、
「そうだそうだ、
味というのはそうやってみるんだ。」
と褒めてくれる。
荒っぽいけれど、いい親方だった。

あとで、他のスタッフに聞いてみたら、
みんな親方の木の柄杓の洗礼を受けていたようで、、、。

食べ物の味見をする時には、
どうしてもおっかなびっくりで、
舌の先に少し載せただけで確かめようとするが、
実は、それだけでは、味はよくわからないのだ。
舌全体で味わう、
これは、少し訓練をしないと出来ないかもしれない。
でも、そういう食べ方をすると、
もっと、食べ物を深く味わえるのかもしれない。

そうして、
日本酒の味見の時も、
同じようなことを教えてもらった。
舌先でなく、
口を横に平らにして、口の中全体で味わうと、
いろいろな味が見えてくるという。

私も、
時々は、
店で扱っている酒が悪くなっていないか、
「仕方がなく」味見をするのだが、
これが、
これが、
なかなか舌全体で味わえないのだ。
だから、
何度も、、
何度も、、
味見をやり直さなければならない。
つらいんだなあ、それが。

 

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2011年2月21日 (月)

ちょっとしたこと。

まだお酒を飲んではいけない年齢の頃、
私はスキー場のホテルで働いていた。
ずいぶん前の話だ、、、。

最初にやらされた仕事が、
食堂でみそ汁を注ぐこと。
他の料理はテーブルにセットされているが、
みそ汁だけは、お客様の顔を見てから注ぐのだ。

なにしろ、多い時には800人ぐらいが泊まる大きなホテル。
いつも、400〜500人のお客さまがいて、
そのお客様に、食事をしていただく大食堂は、
せいぜい300席ぐらいしかなかったから、
入れ替えだ、お客様の案内だと、大騒ぎ。
その分のみそ汁を注ぐだけでも大仕事だ。

もちろん、ベテランのパートさん達と一緒にするのだが、
たかが、みそ汁をお椀に注ぐといっても、
これがけっこう難しい。

先ず、お椀の縁を汚さないように注ぐこと。
これは、お玉をお椀の上に持っていくのではなく、
汁をすくったお玉の下に、お椀を持っていくようにして、
さっと、注ぐ。
みそ汁の椀は手で持つものだから、
汚してはいけないね。
でも、いちいち、汚れを拭き取っていたら、
スキーで腹ぺこのお客様は、みそ汁が届く前に食事が終わってしまう。
だから、手早く、そして、きれいにみそ汁を注ぐのだ。

それに、鍋から注ぐ時に、
鍋の底の方から掬ってばかりしていると、
最後の方のみそ汁の具がなくなってしまう。
そんな、具の案配を見ながら注がなくては。
さらに、みそ汁が切れないようにと、
調理場の恐ろしく大きい鉄の円盤のような鍋から、
こまめに汁を運んで来なければいけない。
なるほど、
みそ汁一つ提供するにも、
コツと技術が必要なのだなあ、、、。

そば屋だって、
ドンブリの周りをを汚さずにお客様に提供するには、
ちょっとした注意が必要だ。
せいろのフチに、白い指の跡なんぞを残したまま、
そばをお出しするのも失礼だ。
そば湯を入れる湯桶は特に汚れやすいので、
注意して注ぐ。

そんなちょっとしたことの、
積み重ねが、商売としてそば屋を続けていくうえで、
大切なことなのだろう。
みそ汁一つ注ぐにも技術、、
そういう気持ちで仕事をしなくては。

で、
そんなことを、
業界のある方に話したら、、、、

「何言ってるんだい。
 今は、『汁注ぎロボット』があるんだ。
 その日に来たアルバイトだって、
 ちゃんと使えるよ。」

とのこと。

はははっ、、、、、
どうやら、私の頭の方が古かったようで、、、、、。

 

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2011年2月17日 (木)

一日経ったそば

そばは、基本的に保存の出来ない食べ物だ。
打ってから、時間が経つにつれて、
どんどんと、風味は落ちていく。
また、茹でた時の膨らみ感もなくなり、
次第に、硬い重いそばへと変わっていく。

だから、
朝打ったそばは、昼に使い切り、
夜の分は、また、夕方打ち直す。
残ったそばは、畑の肥やしとなって、
持ち越すことはない。

私の場合は、そうしているけれど、
まあ、店によっては、
様々な事情があるのだそうだが、、、。

でも、店のスタッフの「まかない」用として、
前の日のそばを冷蔵庫に仕舞っておいて食べることもある。
一日経ったそばなので、
まあ、こんなものだろうと思って食べるが、
それが、意外と、ある意味でおいしくなっているのだ。

もちろん、色は黒っぽくなり
ふわっとした清々しい食感はない。
だけども、そばの味としては濃くなっている気がする。
特に甘味は増している様子。

もちろん、それを、
店のお客様にお出しできるレベルではないが、
そばの味って、こういう風に変わっていくもの何だなあ、、、
と、感心したりしている。

数あるそば屋の中には、
あえて、一晩冷蔵庫で寝かしたそばを出すところもあると言う。
例えば、色の白い、でんぷん質の多いそばなどは、
少し寝かした方が、甘味が出てくるのだそうだ。

実は、打ち立てのそばは、
味がないとも言われている。
打ってから少し、、
一時間から、二時間たった方がいいらしい。

釣りたての「鯛」が、
あまりおいしくないように、
そばも、打ってからある程度の熟成を待って食べてみるのも、
これからの、食べ方として、面白いかもしれない。

いや、
そうはいいながら、やっぱり、
すすった時の清涼感がそばの命。
熟成したそばの味なんて、
未だ熟成しない私には、、、
、、よくわからないのだ。

 

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2011年2月12日 (土)

今更驚く薬の効能

私は毎日店にこもってそばを打っているので、
つい、
世の中の流行に疎くなる。

そのうえ、
テレビは見ないし、
携帯電話も持ってない。
だから、今、どんなことがはやっているのか、
どんな人が人気なのか、
ちっとも判らないのだ。

だから、私は、
世の中の流行とは、
縁のないことだと思っていたのに、、、、

向こうから来る流行って言うものもあるのだね。
といことで、
見事にはまってしまった。

医者で鼻の穴に麺棒を入れられて、
インフルエンザの試験。
どうなるかと思って20分待っていると、
はい、「A型」に合格!
38度を超える熱に、頭痛、腰痛、
咳に鼻水と苦しんでいたのに、
もらった薬を飲むと、
少なくとも、熱だけはすぐに下がってきた。

それでも、身体の重さと風邪の諸症状は治まらない。
仕方がなしに一日休業。
こんな、流行に乗ってしまうなんて、
今更ながら、自分の注意不足を呪うのだ。

でも、
この薬、
確かに良く効くようだ。

Tamiflu
薬の容量は僅か75ミリグラム。
私の体重は64キロ。
私の体重の、たった百万分の一の重さの薬が入っただけで、
あの苦しい熱が治まるのだ。

これってすごいことでもあるし、
怖いことでもある気がする。

ともかく、
皆さんもインフルエンザには、
お気をつけてお過ごしください。

 

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2011年2月 7日 (月)

農林水産省が昨年の蕎麦の作況のデーターを発表。

今日は、久しぶりに見えたお客様から聞かれた。
「あれっ、そば粉の配合か何かを変えた?」

いいえいいえ、
いつもの「かんだた」独自の配合ですけれど、、、。

なにか、不都合があったかなと思ったら、
「今日は、ずいぶんと、蕎麦がおいしく感じたから。」
とうれしいことをおっしゃっていただいた。

何より、一番寒くなるこの季節が、
そばの甘味がもっとも感ぜられる季節。
茹で上がった麺の感触もふわっと仕上がり、
そばが、飛び抜けておいしい季節なのだ。

毎年、自分でそばを打ち、
そして食べていると、
この季節にこそ、
そばを味わって欲しいと思うことしきり。

でも、今のそばがおいしいのには、
他にも理由がある。
言い換えれば、今年のそばは、
出来がいいのだ。

もう一度言い換えれば、
去年のそばが悪かった、、、、
いえ、
そんなことは言えないが、
去年のそばが、
ちょっと物足りなかったのは、
一昨年に全国的に蕎麦が不作だったからだ。

昨年は、豊作とは言えないけれど、
まずまずの収量になったようだ。
それで、いい蕎麦を選んで、
粉にすることが出来たわけだね、きっと。

ということで、
農林水産庁が昨年の蕎麦の収穫量を発表した。
それによると、
昨年の全国での蕎麦の収穫量は約3万トン。
一昨年の全国データーはないけれど、
10アールあたりの収穫量で見ると、
150パーセントの増加ということになっている。

飛び抜けた収穫量を誇る北海道も、
夏の暑さの影響を受けたもののまずまずの収量。
我が長野県も、
10アールあたり75キロと、
全国平均の62キロを上回る収量を確保している。

でも、統計を見て、いつも気になるのは、
蕎麦の植え付け面積が広いのに、
収量の低い県がいくつもあることだ。
これは、減反補助金をもらって、
手間のかからない蕎麦を植え、
ほとんど刈り取らない農家が多いからだろう。
これから、
今の政府が広げる新しい制度に変わっていくと、
こういうところも変わっていくのかもしれない。

で、、、国産の蕎麦はどうなるのだろう、、、?
という不安とともに、
毎年発表される、味気のない統計を見ながら、
あれこれと、思いを巡らせて、、、、

、、、
、、いるところ。
大丈夫かなあ、日本の農業は?

統計を見たい人は、
農林水産省のホームページをどうぞ。
(と、リンクも貼らずに投げやり、、)

 

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2011年2月 3日 (木)

食べると十年長生きするから「ジュウネン」とも呼ばている「荏胡麻」

皆さん、
「荏胡麻(えごま)」って知っていますか。
正直な話、
私も名前だけは聞いていたが、
実際にどういうものかはよく知らなかった。

今は長野市になった鬼無里(きなさ)という、
山に囲まれた地域では、
この荏胡麻の栽培が盛んだそうだ。
そこで、それを使った「えごまクッキー」などが作られている。

どんなものかと言うと、
こんな感じ。

Egoma1
一ミリ半ぐらいの小さな粒だ。
ゴマという名前がついているが、
実はシソ科の植物。
匂いを嗅いでみると、確かにシソと同じ香りがする。

この植物は、古くから日本で栽培され、
ナタネが普及する前は、
この実から油を搾って、明かりなどに使っていたのだそうだ。

でっ、、、、
こういう食材を見つけると、
すぐに、そばに打ち込んだらどうなるか、、、、
と考えてしまう私なのだ。

ということで、
先日の「十割そばの夕べ」。
厳しい寒さの中を、
皆さんご来店ありがとうございました。

いやあ、
発見、発見。
今回の変わりそばで作らせていただいた、
「えごま切り」。
これがなかなか面白いものだった。

Egoma2
荏胡麻はよく炒ってから、
ミキサーで粗く砕く。
普通の「胡麻切り」と同じで、
砕きすぎれば油が出て、固まりになってしまうからだ。
そばが切れるのを覚悟で、
ふるいを通さずに更級粉に打ち込む。

Egoma3
いつものさらしなの二倍以上の時間をかけて、こね上げれば、
このような、つやのいい固まりになる。
だいぶ、油が出ているようだ。

こういう粒を打ち込む変わりそばは、
切れやすいので、太めに作る。
それでも、切れ切れにはならなかったが、
だいぶ切れてしまった。
が、、、、

Egoma4

つぶつぶのホシが残って、
なかなか味わいのあるそばとなった。

ただ、ぼそぼそ感があり、食感が悪い、
麺線もきれいに仕上がらず、
ズズッと勢いで食べるにはつらい。
しかしながら、
濃厚な味が、更級そばの持つ甘味を引き立てている。

いつも、
あっさり味の変わりそばが多かったので、
自分で作っていて言うのもおかしいが、
ずいぶんインパクトのあるそばに仕上がった。

いままで、
こんないい食材が地元にあるなんて気がつかなかった。
これからは、変わりそばの定番にしてもいいなあ。

えっ、
「荏胡麻」はいま、
健康食品として注目を浴びている?
アルファなんとか酸が豊富だとか?
荏胡麻から採った油は、
「シソ油」と呼ばれて売られているとか。

はははっ、
そういうことは関係なく、
「荏胡麻(えごま)切り」のそば、
、、ん、なかなかおいしい。


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