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2010年12月25日 (土)

ベテランほどそばが悪くなる。

ある老舗のご主人が、
本の中でぼやいていた。
店で働く職人達は、
ちょっと目を離すと、
すぐに、手を抜いてしまうと。

その店はロール機を使った機械打ちだが、
水回しと捏ねは、木鉢を使ってそばを作っている。
そばの食感を決める木鉢での仕事は、
ミキサーには任せられないという、
先代からの思いを、受け継いだものだ。

ところが、
この木鉢の仕事は、
手を抜こうとすれば、いくらでも抜ける。
水加減を、最初から多めにしたり、
完全に粘りが出るまでかき混ぜないでくくったり、
捏ねているフリをしてして、力を入れていなかったり、、と。

だから、舟には名札を入れて、
誰が打ったかわかるようにして、
常に、麺質をチェックしているそうだ。

何人も居るそば職人の中でも、
ベテランと言われる、
何年もそばを打っている人たちもいるが、
実は、そういう人たちの方が、
手を抜いてそばを打ったりするのだそうだ。

別の老舗のご主人も、
同じようなことを書いている。

何年も働いた職人に暖簾分けをして店を持たせたりする。
すると、最初は、店で仕込んだ通りの作り方をしているので、いい。
ところが、二年か三年経って行くと、
そばが悪くなっていることが多いそうだ。

つまり、
自分なりの考えで、
手を抜いてしまうようになってしまうのだね。

水回しは、
地味な、そして、
思った以上に身体に負担のかかる作業。
毎日やっているうちに、
少しずつ、自分のやり易いやり方、
身体の楽なやり方に、
そばの打ち方が変わってしまう。
そうして、一度に何キロのそばが打てる、
とか、
何キロのそばなら、何分で打てる、
とか、
そんなことが自慢になってしまう。

そう、
常に、水回しの大切さを頭に入れて、、、
なんぞ言っても、
怒ってくれる親方のいない個人営業は、
つい、短時間で、たくさん打てる、
そして、身体が楽な方向へと傾いてしまうのだ。

だから、
常に、自分自身でチェックをして行かないと、
そばの質は落ちて行ってしまう、、、かな。

と、
私なんぞ、偉そうなことを言っているが、
今日はやってしまった「きらず玉」。

たまたま、水回し中に業者さんの来客。
その間は鉢の前を離れられないから、
水回しをしながら、いろいろと指示を出していたら、
追加の水が多くなって、くくってみたら、
いつもより、クターとしている。

ええい、こんなやつに関わっていられるか、
ということで、すぐにゴミかごへ。
あらたな粉を計量して、打ち直し。

滅多にないことなのだけれど、
いつも、ある程度の緊張が必要なのは、
やっぱり、水回しなのだ。
ある程度、、、ですよ、、。


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2010年12月21日 (火)

同じそば粉なのに打つ人によって食感が違う?

ある、そば好きなお客様のお話。

そのお客様は、郊外に住んでられるので、
近くにあるそば屋さんによく行かれるそうだ。
そのそば屋さんは、
地元の農産物を売る市場の中にあり、
やはり、地元のおかみさん達が、
交代でそばを打って、提供していると言う。

数年前の開業にあたり、
そのおかみさん達は、
そば打ちの講習を受け、
ずいぶんと練習をしたそうだ。
そうして、誰でも、お客様に提供できる、
手打ちそばを打てるようになっていると言う。

ところが、
そのお客さんがおっしゃるには、
その日の打ち手によって、
そばの質がずいぶんと違うらしい。

人によって、食べやすかったり、
粉っぽく感じたり、
固かったり、柔らかかったりすると言う。

その方は、あるおかみさんの打つそばが気に入って、
その人の打つ日に、出かけるのだそうだ。

あれっ、
同じそば粉を使って、
同じ道具で、
同じような方法で、
そばを打っているのに違うのだろうか。

他のお客様のお話。

その方は、よく、ある温泉に通われるのだが、
その帰りに、その温泉地にある手打ちのそば屋に、
必ず立ち寄るそうだ。

ところが、
日によって、微妙にそばの感触が違う気がした。
そこで店の人に聞いてみたら、
三人の打ち手が、交代でそばを打っているとのこと。
大きなそば屋だし、ほとんど無休でやっているので、
そうゆうローテーションが必要なのだろう。
でも、
同じ材料で、
同じように打っているはずなのに、
どことなく、そばの味が、感触が違うのだという。

、、、なぜだろう。

なぜでしょうねえ。

ははは、私にもわかりません。

でも、
そば打ちの最初の仕事である「水回し」。
これによって、
かなり感触が変わってくるのは、
私の経験済み。

手を抜こうとすれば、
途中で力任せにくくることも出来る。
疲れたり、大玉を扱ったりすれば、
なおさらのこと。

さらに、
その後の、捏ねる作業にも影響してくる。

腰と肩に負担のかかる、
木鉢での水回し作業。
脇から見ていても、
それほどの違いに気づくこともない。

その作業を、
まるで、
写真に撮っても決まらない、
カエルに変身したかのような地味な、
身体に負担のかかる作業を、
しっかりとしているかどうかの差が、
ひょっとしたら、
そばの感触になって現われるのかもしれない。

手を抜こうとすれば、
いくらでも手の抜ける木鉢での水回し。
初心者の方から聞く、
そばが切れると言う問題も、
多くはここに原因がありそうだ。

で、
しつこく「水回し」の話。
忙しい年末なのに、
まだ続きそう、、、、。

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2010年12月18日 (土)

へたな手打ちより「ミキサー」を使ったそばの方がうまい!

そばを打つ時の最初の「水回し」というのは、
極端に言えば、そばの性質を左右する大切な仕事、、、

と、昔から言われているが、
実際には、ピンと来るところは少ないのではないだろうか。
粉に対しての、均一な水分の分配と、
その日によって違う、微妙な加水量の変化を読みとること、
、、などと、言う方もいらっしゃるが。

さて、
お客様から指摘された、
「手打ちそばと言いながら、
 ミキサーを使っているところが多い。
 それでも、手打ちそばと言えるのか!!」
という、
耳の痛い話。

私の、
すべてのそば屋さんから見れば、ほんの僅かな、
いえ、鎌倉の七里ケ浜の砂浜の、
僅か数粒の砂を拾ったような経験からいうと、
へたな「手打ち」のそばより、
ミキサーを使ったそばの方がおいしい、、、

あっ、
言ってしまった。
どうしよう、、、。

いや、たまには、そういうそばもあるということで、、。

理屈はいくらでも言えるだろうけれど、
「水回し」のやり方によって、
そばの食感がかなり変わることは確かだ。
もうじき、商売としてそば打ちを初めて20年近くになって、
やっと、そんなことに気づいている私。
自分の打ったそばを毎日食べて、
毎日の違いが判るようになってしまった私。

そば粉への水回しがよく出来ていないと、
茹でれば切れたり、
いくら茹でても粉っぽく感じたり、
麺が酔っぱらいみたいに、
よれよれと曲がっていたりする。
そんなことは、自明のことだが、
しっかりやっているつもりでも、
もっと、もっと、
よくわからない違いがある。
言葉で言い表せない微妙な感覚なのだが。

ミキサーを使えば、
強力な力で、ほぼ、均一に水回しをしてもらえるのだ。
電気代は払うけれど、
腰への負担は無しに。

だけど、
機械はそれまでのことしか出来ない。
その、機械であるミキサーを超えるそばを作らなければ、
「手打ち」としての価値がないのだ。

恐ろしいことに、
ミキサーを初めとする機械類は、
日々進化している。
そのうちに、
ドラえもんのようなロボットが出来て、
私の替わりにそばを打つようになるかもしれない。

でも、
私の替わりに、
私とそっくり同じように、
ドラえもんロボットがそばを打ったって、
「手打ち」とは言わないと思う。
「手打ち」には、
もっと微妙なものが残されているはず。

そばは
必ずしも「手打ち」だからおいしいということもないし、
機械打ちだって、水回しや捏ねを木鉢でやっている、
しっかりとしたそば屋もある。

「手打ち」というのであれば、
機械を超えた、
いやいや、それは僭越だけれど、
機械では出来ないそばを作らなければ、
その意味がないような気がする。

だからねえ、
ミキサーを使いながら、
「手打ち」を名乗る店については、
この、お客さんの意見に、
共感してしまう、、、のだ。

けっして、
ミキサーを買えない、
私の「やっかみ」では、ありません。


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2010年12月13日 (月)

機械打ちでも美味しいそばは出来る。

さて、前々回からの続きの話。
お客さんの話では、
東京では、ミキサーを使いながら、
「手打ち」と名のる店が多いとのこと。

さて、そば屋で使うミキサーと言っても、
何のことやら判らない方が多いのではないだろうか。
実は私も、よくわからない。
機械の展示会で見たことがあるが、
実際に使ったことはないのだ。
縦型と横型があり、
それぞれに、特性があるとか。

歴史的に見てみると、
ロール式の製麺機が普及したのは、
関東大震災後の時代で、
昭和に入れば、たいていのそば屋で、
手打ちの方法は忘れ去られていったそうだ。

でも、ミキサーを使う店は少なかった。
やはり、そばの味を決める水回しは、
大切な作業とされていたんだね。

でも太平洋戦争中に、
ほとんどのそば屋が廃業した後、
新しいそば屋の営業を始めるのに、
ミキサーがなければ、許可がおりなかった時期があったと言う。
食べるものを、素手で扱うとは、
けしからん!
、、という理由だったそうな、、。

このために、一気にミキサーが普及したという。
それまで大事にしまってあった木鉢が、
あちらこちらに捨てられたそうだ。
あらあら。

かくして、
ミキサーでそば粉をくくり、
ロール製麺機で無理矢理に伸ばし、
やはりロール式カッターで切って、
茹でれば、角が丸くなる、
ぼそぼそとしたそばが、主流となった時代があったのだね。

だから、天ぷらや、鴨などの、
種物で味をつけてごまかしていたようだ。

やがて、そばそのものの味が見直されて、
手打ちのそばが、尊重されるようになったのは、
ここ、二十年ぐらいのこと。

でも、まだまだ、
機械打ちのそばが主流なのだ。

そうして、当然のことながら、
機械の方もだいぶ進化している。
かなり、おいしい、、というか、
機械打ちならでのそばも出来るようになった。
ある老舗そば屋の、
せいろの盛り方の美しさなんぞ、
とても「手打ち」でできるものではない。

だからこそ、
「手打ち」と「機械打ち」の棲み分けが、、
いや、おいしいそばを作る気持ちがあれば、
ミキサーを使おうが、カッターを使おうが、
私は、かまわないと思う。

ただ、
ミキサーを使いながら、
「手打ち」と名のるのは、
、、う〜〜ん、抵抗があるなあ。
正直に、「ミキサー打ち」って、いえばいいのに。

私なんぞ、
身体を泣かしながら、
しっかり、手で水回しをしているんだぞ。

Mizumawasi
で、
水回しの話、
まだ、続きそう、、、。

 

 

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2010年12月10日 (金)

古典的な変わりそば「海老切り」。

前の火曜日は恒例の「十割そばの夕べ」。
皆さんご来店ありがとうございました。

十割の新そばも、一番おいしい季節になってきた。

あるお客様が言われる。
「どうして、こんなに甘いのですか。」
えっ、そば汁が甘かったかなあ、、、
と気になったら、その方は、
汁を使わずにそばだけ食べておられる。
そう、そばそのものの甘さを感じていただけたようだ。

これから、寒い間がそばの甘味をもっとも感じる季節。
ぜひ味わっていただきたいものだ。

さて、今回の変わりそばは、
古典的な「海老切り」。

Gambas
ちょっと小ぶりの冷凍エビを、
下ごしらえしてから茹で、
殻のついたまま、煮きり酒を加えてカッターに入れる。

Gambas2
ペースト状になったら、裏ごし。
きれいなピンク色で、エビ独特の甘い匂いがする。
これを更級そばに混ぜ込んで打ってみる。

Gambas3
ということで出来上がった、
やや赤みのかかったそば。
スムーズに打ててしっかり繋がる。
いつもの更級よりは、固い、しっかりとした麺質になった。

味はというと、、
ええと、、、
ええと、、、
なんだかはっきりしない。

「あっ、エビセンの匂いがする!」
と言った方がおりますけれど。

昔から、変わりそばの定番として使われてきた、
この「海老切り」。
そばに対してかなりの分量のエビを使うので、
贅沢な変わりそばとされていたそうだ。
やっぱり、天然の、車エビを使った方が、
味が出るのだろうか。
今までには、
桜えびを使った「海老切り」は何度かしたが、
その方がはっきりとした味がでる。
でも、
食べたあとに残る香りは、
こちらの方が上品。
そして、ややコリコリとした食感が楽しめるのも面白いところ。

ちなみに、
今回の突き出しはこちら。

Gambas4
「穫りたて大根の田舎煮」
「雪菜のピーナッツ和え」
畑で穫れた野菜ばかりだった。

来月は、正月開けの11日(火)です。

 

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2010年12月 6日 (月)

ミキサーを使っても「手打ちそば」?

東京から見えたお客様がぼやいていた。

「東京には数多くのそば屋があり、
 『手打ちそば』の看板を掲げている店もあるけれど、
 よく見れば、打ち場の横にミキサーが置いてあったりする。
 ミキサーを使ってそばをこねて、
 伸すのだけ手でやって、
 『手打ちそば』って言えるの?」

ええっ、
いきなりそう聞かれても、、、、。
でも、手打ちというのは、
本来、そういう機械を使わない打ち方をすることのことでは、、、
と、しどろもどろの私。

ご自身でもそば打ちをされる、
そのお客様の目は厳しい。
そば打ちの、一番大切な仕事と言われる、
木鉢での作業、特に水回しを、
機械に任せてしまうわけだから。
果たして、それでも「手打ち」と言えるのかどうか、
う〜ん、なんともいえない。

そばを打つ時に、
一番最初にするのが「水回し」。
ふるったそば粉に、均一に水分を含ませる作業だ。
普通は鉢に入れた粉に水を注ぎ、
腕を大きく回してかき混ぜる。
簡単そうに見えるが、
実は、これが、肉体的にきつい作業なのだ。

最初はさらさらとしているが、
やがて全体に粘りがでて、ころころとした感じになる。
さらに、かき混ぜ続けて、
細かい固まりがなくなり、
まさに、一つにまとまろうとするぐらいまで、
かき混ぜ続ける。
最後までしっかりかき混ぜないと、
私のような細打ちのそばでは、茹でた時に、
ちりちりの、パーマネントがかかったようなそばになってしまう。

また、多く寄せられる「打ったそばが茹でると切れる」という原因の、
一つにも、この「水回し」の不足がある気がする。

そば粉に粘りが出始めた、後半の「水回し」は、
横方面への力ということもあり、
最も腰に負担がかかる。
だから、
しっかりと、足を広く開いて、
腰を落として、
まるでカニになった気分で、
腕を回すのだ。

だから、
お客様の多いところでは、
ついこの作業を、
機械に頼りたくなるのは、当然のことだと思う。
一度に2.5キロ、3キロと打つところでは、
打ち手の肉体的な負担が大きすぎるのだ。

でも、
それって、店の方針でもあるんだよねえ。
数をこなそうとする、、、、。

私なんぞ、
立派な腰痛持ちだから、
せいぜい、2キロぐらいの水回しで、
大事を取りながらそばを打っている。

そう、
ミキサーがあれば、
もっと楽に打てるかも。
でも、貧乏な「かんだた」は、
そんな機械を買うお金なんぞ、
逆立ちしても、まともに立っても出て来ないのだ。

ということで、
ミキサーと「水回し」のことは、
言いたいことがいっぱいあるぞ!

で、続く、、かもしれないこの話。

 

 

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2010年12月 4日 (土)

今年の大根の収穫は?

ここのところ長野では、
朝晩はかなり冷えることがあるが、
日中はぽかぽかと、
暖かな日差しに包まれることが多い。
まさに、小春日和だ。

この水曜日の休日も、
そんな天気に恵まれて、
まだたくさんのことを取り残している、
畑仕事に精を出すことになる。

日差しは暖かくとも、
畑から見える北アルプスは、
もう、すっかりと雪化粧をしている。

Hueruta
私の借りている畑は、
北アルプスや松本方面から流れてくる、
犀川(さいがわ)の河川敷にある。
この川は、長野市内で千曲川と合流し、
さらに下って新潟県に入ると信濃川と名前を変え、
やがて日本海へと注ぐ。

ちょうど、正面に見える山が鹿島槍ヶ岳。
あの尾根に降る雨も雪も、
この河を流れ下っていくわけだ。

河川敷故に、畑の土は砂地。
深く掘るとゴロゴロとした石がでてきてしまう。
だから、水はけはいいのだが、
それなりに、作物との相性があるようだ。
やっと、そんなことが判りかけてきた、
にわか百姓の私。

さて、
畑に引き抜いた数の穴を残して、
大根の収穫。

Huerutae
今年は、夏の暑さで種まきが遅れたが、
秋の気温が高かったので、
よく育ってくれた。

左の緑色の大根が「支那大根」。
これは漬け物用。
真ん中が、
いわゆる普通の「青首大根」。
突き出しの煮物や薬味など、
いろいろと使える。
左が「辛味大根」。
おろすとかなり辛いので、
ご希望の方におつけしている。

辛味大根は以前にもいろいろ試してみたが、
なかなか辛くならない。
「戸隠地大根」などは栽培する場所によって、
辛味が違うようだ。
そこで、今年は、栽培する場所を選ばないという、
新品種の大根を植えてみた。
品種名が「からいね」だって。

まだまだ、
白菜も、ネギも収穫できる。
寒い季節に向かって、
こうやって、自分で育てた野菜を収穫して保存していると、
ちょっと、豊かな気分になったりする。

何はともあれ、
辛味大根も、
そばの薬味にお試しあれ。
冬季限定、、、というか、
自家製の大根がなくなったら終わりです。

 
 

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