「耕作放棄地再生交付金」を使った、ソバの栽培の新しい動き。
さて、日本で栽培されるソバの大部分は、
本来は米を作るべき田に植えられている。
そうして、製粉屋さんによれば、
田で作られるソバは、
畑で作られるものに比べると、
品質が劣る場合が多いのだそうだ。
ソバの産地と言われる長野周辺でも、
季節に山際の畑をまわってみても、
ソバの畑を見るのは意外と少ない。
あっても小規模で、
多分、自家用で、出荷できる規模ではなさそう。
田にソバを植えれば、国から補助金が出るが、
畑には、何も出ない。
単位面積あたりの収量、収入金額の少ないソバは、
畑を持っている農家にとって、
あまり魅力的な作物ではないようだ。
このままでは、
国産のソバは、ますます、
質や量が下がっていくのではないかと、
私は、
心配でたまらない。
このままでは、
夜も寝られなくなってしまう。
と、
思っていたら、
ソバの業界に、けっこう新しい動きが起きているようだ。
今までは畑で作物を作るのは、
「農家」だったが、
それ以外の「企業」や「組合」や「個人」が、
農業に参入するようになってきたという話を、
よく聞くようになった。
長野のある運送会社などは、
かなりの面積の畑を借りてソバを栽培し、
最近は製粉設備まで用意したと言う。
また、店の、あるお客様は、
長野産のソバをもっと増やしたいと、
信濃町で、大規模なソバの栽培を始める計画を立てられている。
先日お会いした建設会社の社長さんも、
自前の重機を使って、山間部の耕作放棄地を再生し、
ソバを植える計画を持っていた。
今までの「農家」が自分の土地で作る、
という考え方ではなく、
土地を借りるなどして都合し、
効率よく、
けっして儲からないが、
しかし、採算の合うようにソバを栽培しようとしている。
こういう動きがあることが、
末端のそば屋としては、うれしいのだ。
実は、山間部を中心にして、
この頃の日本の首相みたいに、
「もう、や〜めたぁ。」
といって、投げ出し、
作物を植えなくなった畑が多いのだ。
首相の場合はすぐに入れ替わるが、
畑は、荒れたままで放置される。
そんな畑が増えている。
そこで、国では、
「耕作放棄地再生交付金」なるものを制度化している。
前述の方々も、
この交付金を使った事業計画を立てられている。
そう、
例えば長野市では、
昨年は6ヘクタールの畑がこの制度によって再生された。
そうして、
今年は7ヘクタールが計画されている。
残念ながら、すべてが、ソバ畑になるわけではないけれど。
でも、
この数字、
農業をしたり、土地の面積に詳しい方なら、
すぐにピンとくるだろう。
ええっ!これっぽっち!!!!
長野市の
耕作放棄地は、全部で1,500ヘクタールを超えているのだ。
でもねえ、
コレが「ハチドリの一滴」となってもらえればいいと思う。
とにかく、
おいしいソバを作ろうとする、
意欲ある人たちもいるということ。
コレだけで、
私は夜が眠れるのだ、、、。
| 固定リンク
コメント
〈おいしいソバを作ろうとする、意欲ある人たちもいるということ〉
これは救いですね。ほんとうに。
投稿: 所沢太郎 | 2010年6月15日 (火) 10時59分
所沢太郎 さん、こんにちは。
これからは農業の形が変わっていくかもしれませんね。いろいろな方にソバ作りに挑戦していただきたいものです。
投稿: かんだた | 2010年6月15日 (火) 20時58分
八戸の山奥でそば畑を貸しています。良い借り手さんがいなくて困ってます。
投稿: | 2021年11月16日 (火) 01時23分