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2009年11月 3日 (火)

あるそば屋の話 その2

さて、前回の続きの、
山の中の、目立たないそば屋の話。

そばよりも、フランス料理が似合いそうな内装の、
クラッシック音楽の流れる店。
「こだわり」の匂いがぷんぷんとするのだけれども、
いつ行っても、他にお客がいなかった。
これで、やっていけるのかなあ、、、
と、ちょっと、心配になっていた私。

ところが、少したって、夏の観光シーズンに行くと、
結構なにぎわい。
ご主人は、淡々と仕事をこなされていた。
そうして、その後、しばらくして行ったら、
駐車場が車でいっぱい。
あれ、玄関に行列ができている。

この店の静かな佇まいが好きだった私としては、
少し残念な気もしたが、
とにかく、これで、余計な心配はしなくて良さそうだ。

全国的な雑誌に載り、
テレビでも紹介され、
そうして、多くの人が、
このわかりにくい場所にあるそば屋を目指して、
やってくるようになったのだ。

その後、私の生活パターンが変わり、
この店に寄る機会がなくなってしまった。
でも、この店は、注目のそば店として話題になり、
週末は行列を覚悟する店となったようだ。

そうして、そばの値段も上がっていった。
私が食べにいっていた頃の、
倍以上の値段になってしまったらしい。

行った方々の話は、
「確かにうまいそばだ。
 でも、どうしてあんなに値段が高いのだろう。」
ということに落ち着く。

中には、
「あんな値段をとるなんて、
 ちょっと、いい気になっているんじゃないの。」
などという方もいる。

でも、開店してからの数年、
ほとんどお客の来なかった日々の、
ご主人の気持ちを考えると、
この値段も許せるのではないかと、
私には思えるのだ。

このご主人は、
淡々としているけれど、
かなり信念の強い方に違いない。

山の中で営業して、お客が来なければ、
普通であれば、表通りに大きな看板を作ったり、
「手打ちそば」と書かれたのぼりを並べたりする。
メニューを増やして、来た人のニーズに応えようとする。
広告を打ったり、クーポン券を配ったりして、
来店を促したりする。

でも、この店は、そういうことをしなかった。

メニューも変えず(値段は変わったが)、
最初に決めた営業のスタイルを、
ずっと貫き通したのだ。
そうして、その店を、
その店のそばを、
気に入っていただけるお客様が来てくれるのを、
じっと、待っていたのだ。

自分で商売をしていてわかるが、
お客様が少ないときには、
どうしても、自分の売っている物に自信がなくなり、
あれこれと、いじりたくなる。
そういうブレもなく、
営業を続けてきた。

それが、やがて、共感を呼び、
多くの人に伝わるようになったのだね。

だから、あの値段は、
「そば」の値段ではなく、
ご主人の「信念」の価値なのかもしれない。

この店が有名になったので、
最近では、そのスタイルをまねて、
最初からかなり高い値段で、
店を始めるそば屋もあるようだ。

でもね、それなりの値段をとれるということは、
それなりの苦労と信念があったからのこと。
形ばかりを真似たところで、
お客様には伝わらないだろう。

「かんだた」なんか、
あれこれとばたばたしていて、
まだまだ、「信念」が足りないなあ。

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コメント

私から、「街のなかの目立たない蕎麦屋の話」、、、(失礼)
山の中のお蕎麦屋さんに負けないくらい目立たないし(^_^;)
蕎麦に対する「こだわり」も「信念」も感じていますよ。
新しいものにチャレンジしている姿勢には敬服しています。
ただし、行列ができる店になってしまうのはやはり、ちょとねぇ
アンチョビ和えで吟醸酒、の時間は残ってほしいな。

投稿: ぴょんきち | 2009年11月 4日 (水) 12時09分

店主のポリシー、大事にしたいですね。
私が京都に行くと必ず寄る木屋町の小さな料理屋さんがありますが、同じような事を言っておられました。
ひっそりと自分のポリシーでお店を営んでいきたいけど、経営が難しい。
そこで宣伝すれば、それだけに乗ったお客様ばかりになってしまうのもイヤで
その当たりの兼ね合いが難しいとおっしゃっていました。

私もせっかく見つけた美味しいお店が、俗世間の波に呑まれてしまうのも寂しいと贅沢に思っています。

ポリシーだけではやっていかれませんから、難しいですね。

投稿: michiko | 2009年11月 4日 (水) 15時19分

ぴょんきち さん、こんにちは。
カウンター席を5席ぐらいにして、それだけで営業すれば、いつも行列ができるかもしれません。
誰も、並ばなかったかったりして、、、!


投稿: かんだた | 2009年11月 5日 (木) 07時41分

michiko さん、こんにちは。
店のポリシーを貫くことは、とても大切なことでしょうねえ。店は繁盛しても、店の人が思い描いていた店とは、別の店になってしまった、、、ということも、よくありますから。
でも、あまり窮屈な「信念」を押し付けられても戸惑います。
それとなく店の姿勢が感じられる、それがお客様に伝わっている、そういう店作りができればいいのですが。

投稿: かんだた | 2009年11月 5日 (木) 07時53分

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