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2008年2月29日 (金)

料亭では使えないだし。

懐石料理などにいくと、
最初の方に、吸い物がだされる。
季節の、淡白な素材を椀種にして、
だしを味わう料理。
このだしの味で、
その店の腕が分かるという、怖い一品でもある。
だから、料亭のご主人自らが、
かつお節だけは自分で削る店もあったという。

ここに、そば屋のだしで作ったを吸い物をだすと、
味の肥えたお客さまは、
「あっ、帰らせてもらいます。」
と言って、誰も残らないことだろう。

そば屋のだしは、
和食屋さんの作るものと、
かなり違う。
そば屋のだしは、いくら濃厚だといっても、
吸い物には使えないみたいだ。
香りと風味を大切にする、吸い物のだしと、
こくと旨味を求めるそば汁のだしとでは、
そもそも、目的が違うようで。

そば屋のだしは、
厚く削った節を使って、
時間をかけて煮出していく。
でも、ただ長い時間煮ればいいという訳でもなさそうだ。
ある実験によれば、
溶け出していく酸度や総窒素量などの成分は、
90分ぐらいまで増加し、以後はあまり増えなくなる。
だから、それ以上は煮込んでも、
あまり意味はないのだね。
多くの店で、煮だし時間を一時間前後にしているのは、
理にかなっているわけだ。

さて、濃い出し汁をとるためには、
どうしたらいいのだろうか。

甘いコーヒーが飲みたければ、
砂糖をたくさん入れればいい。
だから、節をたくさん使って、
煮れば、濃いだしがとれるはず、、、、。

私もかって、そう思った。
そして、やってみた。
ところが、ところが、、、、

魚臭い、
生臭い、
、、、、そんなだしになってしまった。

甘いコーヒーを、
さらに甘くしようとして砂糖を入れると、
もう、砂糖は、溶けなくなってしまう。
溶けずに、底の方に溜まっているだけ。

つまり、
だしのおいしさの成分は、
ある程度の濃さになると、
それ以上は溶けていかないのだ。
その他の、
臭みのある成分が、
「おっ、これは俺の出番だ。」といって溶け込むから、
生臭いだしになってしまう。

だから、ほどほどの節の量がいいわけだ。

でも、もっと濃いだしを作りたい。
どうしたらいいのか。
昔の人は、ずいぶん工夫をしたのだね。
そうして、だしを煮詰めるという方法を考え出したのだ。
だしをとりながら煮詰めることによって、
旨味の成分が、
ギュッと凝縮されるわけだ。

そうして出来た、濃いだしは、
「塩なれ」のいい汁を作る。
醤油の塩っぱさを、感じさせないような、
旨味が前に、グググッと出てくるような、
そんな、そば汁になるのだね。

だから、私も、
そして、多くのそば屋さんも、
時間をかけてだしをとり、
それを煮詰めているのだ。
たいていは、朝一番の仕事。
昆布とりから始めると、
二時間以上はかかることになる。

でもね。
でもねえ。
最近は、もっと簡単に、
おいしいだしを作る方法があるんだって。

ええっ、こんなことまで、
書いちゃっていいの?
業界の裏技を、、、、
また、次回。


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2008年2月26日 (火)

かつおばかりが節ではない。

東京の老舗のかつお節屋さんのご隠居さんが、
どこかで書いていた。
戦前はそば屋は、かつお節なんか、
買いに来なかったって。

昔のそば屋は、かつお節を使わなかったの?

実は、そばのダシには、
ソウダ節やサバ節が使われることが多かったんだね。

ソウダ節は、かつお節に比べて血合い部分が多く、
濃厚なだしがとれる。

サバ節は、香りはないが、
こくのあるだしがとれ、かけ汁などに使われる。

だけど、かつお節からとれる、
香りと甘味を兼ね備えただしは、
やっぱり、魅力だったのだね。

今、多くのそば屋さんでは、
多分、
多分だけれども、
この、ソウダ節、サバ節、かつお節を、
合わせて、
または、用途によって、
使い分けていることだろう。

それぞれの節に、
特徴があり、長所と短所があるのだ。
それを補うために、
合わせて使っている。

かつおのだしは、
たしかにおいしいが、
そばと合わせる時に、
何か物足りない気がする。

そこで、濃厚なだしの出る、
ソウダ節や、サバ節を合わせるのだね。

だしというと、
「かつお」ばかりがスポットライトにあたるけれど、
ちゃんと、それを支える裏方さんがいるのだ。

でもね、本当は、
昔のそば屋さんは、
高いかつお節を使い切れなかったのかもしれない。
手軽な値段で、そばを楽しんで貰うために、
ずいぶん工夫をしたのだと思う。

そうして、独特の、
だしの取り方、作り方が生まれたのだと思う。

そば屋のだしの取り方は、
和食で普通に作られるだしとは、
全く違う。
濃厚な、こってりとした旨味をだすために、
そば屋さんは、苦労を重ねて来たのだ。
(今だって、苦労している私。)

知っているよ、
そば屋では、厚削りの節を使うんだろう。

って、でもね、
それだけではない、
そば屋のだしの秘密。
それはまた今度。

ええっ、コクをだすには、
「●の素」を入れればいいんだろうって?
残念ながら、そういうそば屋さんも、
あることは事実。
でも、いろいろ工夫しているそば屋さんも、
星の数ほどあるんだ、、、、
と信じたい。


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2008年2月24日 (日)

カビが生えているからといっても、、。

日本の料理の味の原点ともなっているかつお節。
さて、そのかつお節が、
一番消費されているのは、
どこだかご存じだろうか?

とにかくそこでは、よく使われている。
一世帯あたり、全国平均の7倍も使われているそうだ。
さて、どこでしょう。
ちなみに二番目は、四国の徳島、三番目は鹿児島となっている。

かつお節といえば、
昔は結婚式に欠かせないものだった。
「勝男」と書いて、
結納の品に入れたり、
引き出物に使われたりした。

今では、せいぜい、
パック入りの「花カツオ」が使われる程度。
ところが、昨今の本物指向で、
丸のままのカツオ節を贈る人が、
まあ、ごくたまに居るらしい。

そうすると、必ずかかってくる、
メーカーへの苦情の電話。
「あの、おたくのかつお節を貰ったのだけれど、
 カビだらけじゃないか。
 おたくはカビの生えたもの売ってんの?」

まあ、今の人は、
かつお節といえば、
削られてパックに入っているものしか知らないから、
本物の、かつお節なんぞ見たこともない。
だから、きれいにカビが生えたものが、
高級品の「本枯節」だなんて、
夢にも思わない。

メーカーも苦慮をして、
説明書を挟み込むが、
そんなものなんか、読まない人が多い。
そうして、苦情の電話を受けることになる。
でも、電話をしてくるのは、まだいいという。
多くの人は、
あっ、カビが生えている、、
と思って、捨ててしまうそうだ。
もったいない、、、、。

でも、今や、かつお節の削り箱を持っている家なんか、
競馬の万馬券を当てた人の数より少ない。
どんなに高級品でも、本物指向でも
かつお節を丸ごと一本貰ったって、
困るよね。

かつお節は、
ものすごい複雑な作業を経て作られる。
身を下ろして、一度煮立て、
骨を抜いて、形を整え、数日かけていぶす。
表面を削って、カビを生やしては乾かし、
生やしては乾かしして、
よく乾燥した、旨味のある節が完成する。

だから、かつお節には、
カビがついていて、当たり前なのだ。
決して、悪くなったわけではない。
そのカビの力を借りて、
保存性を高め、おいしさを高めているのだ。

生のカツオから、カツオ節になるまで、
その間およそ、4か月から5か月。
手間と時間のかかるものなのだ。

そう考えると、かつお節製造は、
商売としては、割のいいものではない。
使ったお金を回収するまでに、
時間がかかるのだ。
それに、せっかくいいものを作っても、
相場に左右されることもある。

そういう事情もあって、ここのところ、
少しずつ、生産者が減っているんだね。

かつお節は日本の風土が作り上げた、
まさに、食の芸術品。
頭を叩けば、こつんと痛い、
こんなものが食べ物かと思わせる、
忍者もどきの、文化の香り。

人工的な調味料の味ではなく、
自然の中から、
苦労して作り出された、
かつお節の味に、もっと親しんでみよう。

せめて、日本の文化を守るために、
かつお節のダシを使った汁で、
ズズッと、そばを手繰ろう。

さて、日本で一番かつお節が食べられているのは、
ええっ、そうなの、、、
そういえば、
ゴーヤチャンプルにも入れたりするし、、、、
でも、こんなに使われているとは、
私も知らなかった。

それは、沖縄県です。

さて、そば屋で使われるかつお節は、
どんなのだろう。
そんな話は、、、また次回。


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2008年2月22日 (金)

ブルータス、お前もか。

シェイクスピアの「ジュリアス・シーザー」の中の、
有名な台詞。
味方だと思っていたブルータスが、
自分を刺し殺す、何人かの中に入っていたのだ。

この、言葉の事実については、
学者によって異論があるそうだ。
でも、頼りにしていたものに、
裏切られた時の気持ちを、
うまく表している気がする。

「ブルータス、お前もか、、。」

最近、この言葉が、
頭に浮かぶ頻度が増してきた。

この前も、
「カツオ、お前もか、、、。」
と叫んでしまった。

べつに、「サザエさん」の話ではない。

なぜだか、
どうしてだか、
誰が悪いのか、
スズメが空を飛ぶからか、
申告書をまだ作っていないからなのか、
初詣のお賽銭をけちったからなのか、

よく分からないが、
近頃、じわっと上がっている。

油の値が上がり、
豆腐が上がり、醤油が上がり、
砂糖が上がり、
ええっ、ビールが上がる予定だって。
小麦も、大幅に上がる。

そして、カツオ節も。

なんでも、
世界中でカツオを食べる人が増えて、
かつお節の原料となる、
冷凍カツオの相場が上がったらしい。

健康指向の盛り上がりで、
缶詰にされるカツオが増えたのだね。
まあ、どうしても、
食べ物の相場には、
波がある。
でも、カツオ節のような、
乾物までに影響が出るとは思わなかった。

カツオよ、お前までが、、、。

でも、
最近のカツオ節事情、
ちょっと変わってきているみたいだ。
そんなことで、
しばらく、続くカツオの話。

えっ、カツオはタタキが最高だって。
カツオ節は、
叩くと、
カンカンと乾いた音がするのが最高だって。


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2008年2月19日 (火)

そば打ち初級者にはロール挽きの粉がお勧め。

さて、時々、
粉を自分で持ち込まれて、
その粉で、そばを打って欲しいと頼まれることがある。

どういう性質の粉か、
よく分からないので、
ちょっと、怖い。
でも、出来るだけ応じるようにしている。

作ってみると、打ち易い粉もあるし、
伸びのない粉の場合もある。
粉によって、ずいぶんと違うものだなあ、と思う。

先日も持ち込まれたのは、
親類の農家の方が、育てられたそばだという。
農協で製粉してもらったそうだ。

顕微鏡で覗いてみると、
粒のきれいに揃った、
微細粉の少ない粉。
ロール式製粉機によるものだ。
ホシが少なく、
ちゃんと挽き分けて篩(ふる)われている様子。

打ってみると、
水の含みもいいし、粉の膨らみもいい感じ。
外二の割り合いで、きれいなそばが出来上がった。
ちょっと、茹でてみても、
味の濃い、甘味のさわやかなそば。
麺線も捻れることなく、しゃんとしている。

農協もなかなかのそば粉を作るものだ。

そばを粉にするには、
ロール挽きと石臼挽きがある。
多くのそば粉は、
効率のいいロール挽き。

でも、一般的に、ロール製粉の粉は、
石臼挽きに比べ風味が少ないと言われている。
ロールで粉砕する時に熱が生じて、
そばの香りが飛ぶからだ。

だから、「手打ち」を売りにする店では、
香りのよい、石臼挽きの粉を使うことが多い。

でもね、石臼挽きだからといって、
おいしいとも限らない。
石臼でも、局部的にかなり高熱が発生することがあり、
風味を壊すことがある。
また、粒がきれいに揃いにくいのも難点だ。

きれいに石臼で挽かれた粉は、
角が丸くなったような粒が揃っている。
そば粉が来る度に、
顕微鏡で覗いては、ブツブツ言っている私は、
そば粉屋さんからみれば、
うるさい奴なのだろうなあ。

石臼で上手に粉を挽くには、
マメな手入れと、調整が必要。
最近はやりの、自家製粉の方たちも、
話を聞けば、
その点を苦労されているようだ。

でもね、ロール挽きの粉だって、
うまくやれば、決してまずいわけではない。
むしろ、そば打ちを、これから始めようとする方には、
私は、ロール挽きのそば粉を薦めている。

どうしてかって?
粒が揃っているので、
均一に水が回り易いのだ。
そして、表面が滑らかに仕上がるから、
伸しもやり易い。
少し、ロール挽きの粉で練習されてから、
石臼挽きの粉に挑戦される方がいいのではないだろうか。

どこで、手に入るかって?
お近くに、出前も丼ものもやっている、
昔ながらのそば屋はないだろうか。
あれば、そこに頼んで、分けてもらうといい。
機械打ちをしている店のほとんどは、
ロール挽きの粉を使っていると思う。

あっ、もし分けて貰ったら、
一週間以内に使うこと。
冷蔵庫に入れたり、
ビニール袋に入れてはいけないよ。
そば粉は、
その取り扱いで、
コロッと性質が変わってしまうのだから。
そう、ほら、
何かに似ているでしょう。
取り扱いかたで、
コロッと変わってしまう、、、、。


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2008年2月17日 (日)

つぶつぶのそばもある。

さて、私の好きなあんかけ豆腐を、
店でもお出ししている話。
前回作った、おいしいだしに、
そばの実を入れて作っている。

そばというのは、粉にするばかりではなく、
そばの実として、粒ごと、けっこう食べられているのだ。

でも、そばの実といっても、
そばを粉に挽く時につくる、
殻を剥いた丸抜きのことではない。
「そば米」と呼ばれる、
炊きもの用のそばがあるのだ。

玄そばを、塩を入れた湯で茹でて、
殻の口が開く頃に取り出し、
ムシロの上などで乾燥させる。
充分に乾いたものを、杵などで突いて、
殻を取り除いたものが「そば米」。

昔は、米と一緒に炊き込んで、
よく、食べられていたらしい。
ロシアや東欧の国では、
カーシャと呼んで、
これを粥のようにして食べるそうだ。

確かにこのそば米を、
コンソメで炊いて、
バターを浮かべてみても、
なかなかいけるのだ。
う〜ん、ウオッカを飲みたくなったぞ。
えっ、そばから作ったウオッカもあるって?

Sobamai このそば米、
煮るとあくが出るので、
一度茹でこぼす。
そうして、ざるにあけたところ。

そばの実が、口を開いて、
プチっとした食感。

これを、味付けしただしのの中に入れ、
一度沸騰直前まで温めてから、
いったん冷ます。
味が、そばの実の中にしみ込んでいくのだ。

奴に切った絹ごし豆腐をお湯の中に泳がせて温め、
お湯を切って器に入れる。
火にかけて、片栗粉でとろみをつけた、
そばの実入りのあんを、とろりと張って出来上がり。
天盛りには、柚子の皮だけでシンプルに。

ああ、だしの香りと、豆腐の甘味と、
そばの風味が解け合って、おいしいなあ。

このそばの実のあんかけは、
他の材料でも使える。
スズキや甘鯛、サワラなどの
淡白な魚を焼いて、
このあんをかけてもいい。
味をちょっと濃いめにして、
薄味で煮た冬瓜の、冷やしあんかけなども、
夏の暑い季節にはいいだろう。

素朴で、地味な、そば屋の料理。
でもね、だしの取り方にしても、
そば米の作り方にしても、
昔から、受け継がてきたもの。

遠くから来たものではない、
誰か知らない人が作ったものではない、
さまざまな調味料で化粧をしたものでない、
、、、、、凍ったものではない、、、
こういう味を、
大切にしたいなあ。


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2008年2月15日 (金)

あんかけ豆腐はダシが決め手。

東京は鴬谷に、
老舗の豆腐料理屋がある。
入ると、広い玄関で番頭さんが迎えてくれる、
料亭のようなところ、、、いや、実際料亭なのだが、
一階の大部屋には、誰でも入れて、
手ごろな値段で豆腐料理を楽しめる。

私は、ここの、あんかけ豆腐が好きだ。

注文すると、
ちょうど手のひらに入るぐらいの小振りの器に、
とろみをつけた八方だしが張られ、
四角い絹ごし豆腐が、つんとすまして真ん中にいる。

その暖かい豆腐を、
箸で崩しながら、だしとともにいただく。
だしの旨味と、豆腐の甘味が絡んで、
なんとも微妙な、知的な味をかもし出す。

この店であんかけ豆腐を注文すると、
器が二つ、目の前に置かれる。
注文を間違えたかと思うと、そうではない。

店の口上によると、
昔、上野の殿様(誰のことだろう)が、
あんかけ豆腐を頼まれると、
決まって、おかわりをしたそうだ。
ならば、初めから、
おかわりの分も出してしまおう。
そうして、二つ出すのが、
この店の決まりになったとか。

だしと豆腐だけの、
素朴な組み合わせなのだが、
なぜか、時々、
このあんかけ豆腐が食べたくなるのだ。

といっても、
今は長野に島流し、、、じゃない、山流し、、、でもない、
ええい、長野に定住している身としては、
そうそう鴬谷まで行ってられない。

それならば、
自分で作ってしまえ、、、
ということで、
コースの料理に取り入れたりしている。
そば屋らしく、あんにそばの実なんぞを炊き込んだりしてね。

この料理は、
まず、おいしいだしを作ることが大切。
いや、これに限らず、
なんでも、だしを上手に取ることが、
料理をおいしくするコツなんだろうなあ。

だしの取り方なんか、
料理の本にいくらでも書いてあるけれど、
ここでちょっとおさらい。

鍋に水を張って、
昆布を一切れ入れて火にかける。
別に、利尻や羅臼でなくとも、
汁は濁るが三石(日高)でも充分。
火は弱火にして、20分位で沸き上がるようにする。

鍋全体から湯気が上がってきたら、
昆布を取り出す。
そして、ひたすら、かつお節を削る。
シャカ、シャカ、シャカ、シャカ、釈迦、シャカ、シャカ。
あれ、何か混ざったぞ。

Fusi 鍋の湯が沸いたら、
火を止め、
削りたてのかつお節を入れる。

かき混ぜてはいけない。
節の重みで、
湯の中に沈んでいくのを待つ。

沈んだら、再び火をつけ、
沸騰寸前で止める。
あくを掬いとり、
じっと待つこと三分間。
そこで、コシ布を使って、節をコシ取る。

だしの成分を出そうと、
箸でかき回してはいけない。
沸騰させてはいけない。
長い時間浸してはいけない。
節をたくさん入れ過ぎてはいけない。

節には、おいしい成分と、
生臭くなる成分が潜んでいる。
生臭くなる成分が気が付かないうちに、
おいしい成分だけを、引き出しのだ。

こうして出来ただしに、
16:1:1
だし:みりん:しょうゆ
の割り合いで加える。
これがおいしいのだ。
化学調味料で作った味なんか、
足元にもおよばないおいしさ。
私など、
味見と称して、グイグイと飲んでしまう。
うーん、これが、
日本料理の基本の味なのだね。

さあ、このだしを使って、、、
あれ、
書くところが無くなった。

続きは次回に。

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2008年2月12日 (火)

骨と雲丹は待ってます。

「おおい、ご隠居さん。
 てえへん(大変)だ、てえへんだ。」

「おお、なんだい、熊さん。
 またまた、大変だなんて、大騒ぎして。」

「へい、てえへんなんで。」

「まったく、いつもあきれるねえ。
 で、今度の大変はなんだい。」

「へぇ、あの、八の野郎が、
 ついに、頭がおかしくなりましてね。」

「ほう、八さんといえば、つい先日、
 都へ引っ越していったばかりじゃないか。」

「そう、それでね、あっしに、
 手紙をくれたんですよ。
 そこに書いてあることが、どうもおかしい。」

「ほう、どうしてんだい。」

「いえ、なんでもね、新しい趣味を
 始めたらしいんです。
 それがねえ、なんと、
 『骨』だって言うんですよ。
 それと、『ウニ』。
 これが家で待っているって書いてあるんですよ。」

「ほう、骨ねえ。
 それにウニを飼っているんかい。
 そりゃあ、確かにおかしな趣味だ。」

「ほら、これがその手紙。
 骨とウニは待っています、って書いてあるでしょう。」

「どれどれ、
 うん、けっこうきれいな字を書くじゃないか、八さんは。
 『骨とうにはまっています。』
 ははあ、熊さん、
 これは骨とウニではないよ。
 『骨とう』だよ。」

「えっ、『骨とう』。」

「そう、古い道具や焼き物を集める趣味のことだ。」

「でも、骨とうって、難しいんでしょう。
 八なんかに、分かるんですかね。」

「ほら、うしろの方に書いてあるが、
 蕎麦猪口を集めているらしい。」

「へえ、蕎麦猪口ねえ。」

「蕎麦猪口は、わりと手ごろな値段で売られているし、
 何より、模様の変化が多彩で、面白い。
 花あり、景色あり、幾何学模様ありとね。
 気に入った蕎麦猪口で、
 お茶やコーヒーを飲む人もいるらしい。」

「蕎麦を喰うだけじゃないんですね。
 あっしはそれで、蕎麦前をいただきたいね。」

時間と、何よりもお金があれば、
集めてみたい蕎麦猪口。
古いものは、今のものより、
ずっと小振りで手に馴染み易い。

江戸時代の終わり頃、
伊万里で作られたものが良いとされているが、
いろいろな場所で、
いろいろなものが作られたみたいだ。
何しろ、たくさん使われた食器だからね。

古い蕎麦猪口を、
さり気なく飾ってあるそば屋さんもあるけれど、
なかなかいいものだ。

Sobachoko 蕎麦猪口は、基本的に、
白地に紺の模様だから、
その絵柄に凝るよりほかはない。
「かんだた」に置いてある古い蕎麦猪口も、
きっと、職人さんが、
一生懸命書いたのだろう。
多分龍のつもりだろうけれど、
なんとも、かわいらしい顔をしているのだ。

機会があれば、骨とう屋さんで、
お値打ちの蕎麦猪口を探すのも、
楽しいだろうなあ。



 

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2008年2月10日 (日)

てえへんだ、ご隠居さん。

「おおい、ご隠居さん。
 てえへん(大変)だ、てえへんだ。」

「おお、なんだい、熊さん。
 また、大変だなんて、大騒ぎして。」

「へい、てえへんなんで。」

「あんたの、大変ほど当てにならないよ。
 この前も、猫がネズミを捕ってきたぐらいで、
 あんなに大騒ぎして。」

「へえ、あの時は、
 あんなでっけえネズミなんて、
 見たことがなかったもんですから。」

「なに言ってんだい、まったく。
 でっ、今度の大変だ、は、何なのだい。」

「へえ、出たんですよ、やっとね。」

「幽霊にしちゃ、季節外れだな。」

「いや、そうじゃなくて。
 いつも年末にでるはずだったんですが、
 今回は遅いなと思っていたら、
 やっと出ました。」

「そうか、ボーナスが出たのかい。」

「違いますよ、ほら、あれですよぉ。
 去年のそばの出来具合の集計。
 農水省のホームページで、
 発表になったんですよ。」

「農水省って、去年は大臣が、
 コロコロコロと変わったところだろう。」

「へい、それでも、
 少しはまともなお役人がいて、
 集計がコロッと出ました。」

「そりゃあ、大変だ。
 さっそく見てみよう。」

大変なことかどうか、
分からないけれど、
去年の国内産の、そばの収穫量が発表された。

今回から、ちょっと統計の取り方が変わったが、
主な生産県の収穫量は、
一昨年をやや下回ったようだ。
これは、最大の生産地である北海道の、
天候不順のせいらしい。

それでも、北海道は、群を抜いた生産量。
主要な生産県の収穫高の、
約半分が、北海道なのだ。
以後、茨城県10パーセント、
長野県8パーセントと続いている。

それでも、
そばの作付け面積は増えているようだ。
その割に、
10アールあたりの収量が、
ずいぶん低い県があるのはどうしてなのだろう。
例えば青森県は、
作付け面積では長野県より広いのに、
収穫量は、三分の一なのだ。
別に去年に限ったことではない。

どうして?
統計のやり方の問題なのかなあ。

また、そばの栽培が盛んな鹿児島県が、
主要な生産県の中に入っていないのは、
なぜなのだろう。

日本のそばの消費量は、
玄そば換算で約12万トンといわれている。
去年の主要な生産県での収穫量は2万6千トン。
その他を合わせても、3万トンぐらいだろう。
ということは、自給率は25パーセントぐらい。
まだまだ、輸入に頼っているんだね。

日本の農家の人に、
もっと、そばを作ってもらうために、
国産のそば粉を使った手打ちそば屋で、
ずずっとそばを手繰ろう。

もっと、
ずずっと、ね。

農林水産省の統計ページはこちら。
http://www.maff.go.jp/www/info/bunrui/mono03.html

表の中から、
「平成19年産 そばの作付面積及び収穫量」
を、探して御覧下さい。

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2008年2月 7日 (木)

苦い味のチョコレート

スーパーでも、コンビニでも、
今の季節、チョコレートが山となって積まれている。

きれいなケースに入れられた、
おいしそうなチョコレート。
そう、バレンタイデーとか云う、
業界が、えいこらと作り出した習慣に、
皆さん乗っているんだね。

まあ、一つのお祭りだと思って、
楽しんでみるのもいいのかなあ。
でも、
私には、全く関係のないお祭り。
だいいち、私は、
甘いものが嫌いだし、、、
どうせ、贈ってくれる人はいないし、、、
それに、、、、
と、ひがんでみる。

ひがみついでに、
チョコレートについての、
ちょっと苦い話。

チョコレートは何から作られるのでしょう。
そう、原料はカカオ豆。

そのカカオはどこで作られているのだろう。
残念ながら日本では作れない。
もっと暑い、熱帯地方でしか出来ないのだ。
世界の生産の70パーセントを占めるのが、
西アフリカ諸国。

その生産農家は小規模なところが多く、
そこの子供たちも、農園で働く、
貴重な労働力となっている。

子供が家の仕事を手伝う。
そのことは決して悪いことではない。
でも、近年、カカオの価格が下がり、
労働条件は悪化している。

農園主らは、安い労働力として、
子供たちを買い入れて働かせるようになったのだ。
つまり、人身売買が行われ、
買われた子供たちは、
きつい労働を強いられていることが、
さまざまな調査から分かってきた。

素肌で殺虫剤や除草剤に触れ、
危険な刃物や機械を使わされ、
もちろん、学校へもいけずに、
長時間の労働をさせられる。

長さ二十センチほどの、
ラグビーボールのようなカカオの実は、
手で収穫せねばならず、
木の高いところに登っての作業もある。

そこで働く子供たちは、
そのカカオから出来る、
チョコレートを、
見たことも、食べたこともないのだ。

日本では、店頭に山と積まれ、
気軽に買って、
食べることの出来るチョコレート。
でも、その材料は、
原産地での、
子供たちの過酷な労働によって、
作られているのだ。

甘いチョコレートが、
少しは苦くなっただろうか。

もちろん、業界団体も、
改善を試みている。
でも、まあ、なにしろ、
業界のすることだからね。

せっかくのバレンタインデー。
あまり、難しく考えず、
お祭り騒ぎをすればいい。

どうせなら、
アフリカの子供たちの汗によって作られた、
きれいに飾られたチョコレートを食べるより、
日本の農家の人たちが、
努力をして作った蕎麦を、
素朴にズズッと、手繰ってみよう。

バレンタインデーには、
そばを食べよう!!!!

って、やっぱり薄いかな。

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チョコを選べば世界が変わる。チョコレボのページ。

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2008年2月 5日 (火)

磯の香りのするそば。

さて、本日は「十割そばの夕べ」。
皆さん、御参加ありがとうございます。

Aosa 本日のそばはこちら。

何だろう、
このどぎつい緑は。

はい、磯の香りの高い、
「あおさ切り」。

あおさって、よく「青のり」として使われている。
でもね、
時期も時期なので、
中国産は使わず、
三河湾産のあおさ粉を打ち込んでみた。

「これは、分かりやすい味だ。」
との話。

実は、このあおさ切り、
作るのに少々手間どった。
こういう植物性の変わりそばは、
伸びのある生地になることが多いのに、
あおさは、まったく伸びない。
むしろ、がつんと固い感じ。
だから、麺線にするのに、ちょっと苦労。
打ってみるまで、分からないものだ。

変わりそばは、
本来のそばを味わう点からは、
邪道かもしれない。
でも、こうして、
そば打ちの技術を磨く機会になることは確か。

まあ、一つの遊びとして、
楽しんでいただければ。
いえいえ、
お客さまを、
けっして、
けっして、
実験台にしているわけでは、、、、。

さて、来月は、
何を作ろうか。


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2008年2月 3日 (日)

スーパーでも宣伝している節分そば

さて、今日は節分。
皆さん、豆を撒かれましたか。

私の子供の頃には、
どこの家でも、
豆撒きの声が聞こえたものだった。
何でも、鬼が逃げやすいように、
家中の扉を開け放して、豆を撒いたとか。
「鬼はそとー、福はうちー。」
と大きな声を出してね。
近頃では、そんな声は聞かれなくなったようだ。

さて、江戸時代には、
この節分にそばが食べられていたらしい。
節分の次の日は立春。
正月とは別に、
この日から,新しい年が始まると考えられたのだね。
だから、前日の節分に食べるそばを、
「年越しそば」と呼んだそうだ。

大晦日の「年越しそば」は、
それに比べると、
新しい習慣だという。

なるほど、節分にそば。
どのみち、そばを食べる機会の増えることはいいことだ。

ということで、
節分の本日、「かんだた」で用意したのが、
この「節分そば」。

Setubun青豆の粉を更級に打ち込んだ、
「鬼打ちそば」と、
いつもの手打ちそばとの合い盛り。

節分らしく、入り大豆と、
田作りを添えてみた。

皆さん、足元の悪い雪の中を、
ご来店ありがとうございました。
いい厄払いに、なったでしょうか。

これに味をしめて、
来月の初めには「雛(ひな)そば」をやってみようかな、、、
と、考えているところ。
本来は、飾った雛をしまう時に、
そばを食べたという話。
でも、せっかくだから、
彩りのいいそばを、お雛様に見立てて、
いただくことは出来ないだろうか。

まあ、来月のお楽しみということで。


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