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2006年11月17日 (金)

岸恵子は蕎麦を食べるのだろうか。

 今日は駅前の東急で開かれていた「岸恵子写真展、私のパリ、私のフランス」を見に行ってきた。
 さすがフランス暮らしの長い大女優、パリの景色のすっと解け込みながら、しっかりとした存在感を訴えかけてくる。

 岸恵子といえば、バタ臭い(もう死語だが)顔立ちで、モダンな洋風の役が似合いそうだが、市川崑監督の映画に出てくる彼女は、けっこう着物姿も似合っている。
 前にも紹介した映画「おとうと」もそうだったし、「悪魔の手毬歌」では、あか抜けない田舎の旅館の女将さんの役をやっていた。何といっても華やかだったのは「細雪」だろう。使われた着物も見事だったが、それを着こなした岸恵子もさすがだ。
 最近では「たそがれ清兵衛」にも少しだけ出ていたが、印象深い役だった。

 彼女は若くしてフランス人の映画監督と結婚し、以後ずっとパリに住んでいるそうだ。まさにパリの匂いが染み付いている感じがする。

 でも、今回のこの写真展に行ったのは、岸恵子の姿を見るためだけではない。やはり、パリに住み続けている、もう一人の日本人の名前があったからだ。

 「写真、山下郁夫」

 ポスターでその名前を見た時に、あっと思った。あの山下さんが、岸恵子の写真を撮ったのだ。
 もう30年近く前、私はフランスで貧乏旅行をしていた。その時に知人にパリにいた山下さんを紹介してもらい、そのアパートに転がり込んだのだ。広さといえば六畳ぐらい、その狭い部屋に一週間以上も泊めてもらい、さらに、スペインへ行っている間に荷物を預かってもらった。
 当時の山下さんは、日本料理店で働きながら、お金が貯まるとあちらこちらに撮影旅行に行っていた。そして、雑誌社などに売り込んでいたのだ。

 世話になったままだったが、その後、パリで日本人の女性と結婚したという話を聞いている。そう、そして、あのままパリにいたのだね。
 岸恵子が、パリの町が、あの山下さんの眼を通して目の前にあるんだ。

 「おれは、いわゆる売れる写真というのが、どうも撮れないんだ。」
 そう言っていた山下さんは、ずっとパリに住み続け、写真を撮り続けていたのだ。たしか私より、五歳ぐらい年上だったと思った。

 志を貫き通すこと、そういうことが大切なんだね。
 私にとって、そんなセンチメンタルな写真展だった。

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