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2006年11月30日 (木)

茹で前はケチ

 最近のそば屋では、硬めの麵を出したいためか、中までよく茹でられていない蕎麦を出されることがある。
 私はこれが苦手。
 粗挽きとか、田舎とかいって出される太い蕎麦は、特にそうだ。中まで火が通っていないから、消化が悪い。
 そばのくせに、腹が重たくなってしまうのだ。

 昔の職人の言葉に「茹で前は恥」というのがあるそうだ。
 そばは、よく茹でた方がいい。茹で足りないよりは、少し茹で過ぎぐらいで、冷たい水で締めて出した方がいいというもの。
 そういう風に云われているのに、「茹で前」のそばが出てくることがあるのだ。

 そばを茹でる人のことを釜前という。
 この人は、店内のお客さまの様子、種物の調理の進行状況などを見ながら、タイミング良くそばを茹でるわけだ。
 この「釜前」というのが、そば屋の調理場では、一番責任がある役目なのだね。

 昔は、釜を薪で炊いていた。
 今のようにスイッチ一つでガスが点火するような釜ではない。お客さんの様子を見ながら、薪の火も調整しなければならなかった。混みそうな時には火を強くし、暇な時には、薪の量を控えていた。
 タイミング良く湯を沸かすと云うのは、大変なことだったのだ。

 だから、「帳場は釜の火が見えるところに置け」などと云われ、帳場に座った主人が、職人がちゃんと火の調整をしているかどうか、見張っていたのだ。

 へなちょこの火の釜で茹でられたそばは、当然良く茹でられていない。
 そんな、茹で足りないそばを出すのは、釜の火の管理がちゃんと出来ていないということだったんだ。
 だから、「茹で前は恥」として、たしなめたんだね。

 きっとそうだと思う。

 さて、強力なガスバーナーで茹で揚げるこの時代。
 薪の火を気にしなくていいのだから、もっとちゃんと茹でられるはず。
 いくら、経費削減の世の中だからって、ガス代までケチることもあるまいに。

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