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2006年11月30日 (木)

茹で前はケチ

 最近のそば屋では、硬めの麵を出したいためか、中までよく茹でられていない蕎麦を出されることがある。
 私はこれが苦手。
 粗挽きとか、田舎とかいって出される太い蕎麦は、特にそうだ。中まで火が通っていないから、消化が悪い。
 そばのくせに、腹が重たくなってしまうのだ。

 昔の職人の言葉に「茹で前は恥」というのがあるそうだ。
 そばは、よく茹でた方がいい。茹で足りないよりは、少し茹で過ぎぐらいで、冷たい水で締めて出した方がいいというもの。
 そういう風に云われているのに、「茹で前」のそばが出てくることがあるのだ。

 そばを茹でる人のことを釜前という。
 この人は、店内のお客さまの様子、種物の調理の進行状況などを見ながら、タイミング良くそばを茹でるわけだ。
 この「釜前」というのが、そば屋の調理場では、一番責任がある役目なのだね。

 昔は、釜を薪で炊いていた。
 今のようにスイッチ一つでガスが点火するような釜ではない。お客さんの様子を見ながら、薪の火も調整しなければならなかった。混みそうな時には火を強くし、暇な時には、薪の量を控えていた。
 タイミング良く湯を沸かすと云うのは、大変なことだったのだ。

 だから、「帳場は釜の火が見えるところに置け」などと云われ、帳場に座った主人が、職人がちゃんと火の調整をしているかどうか、見張っていたのだ。

 へなちょこの火の釜で茹でられたそばは、当然良く茹でられていない。
 そんな、茹で足りないそばを出すのは、釜の火の管理がちゃんと出来ていないということだったんだ。
 だから、「茹で前は恥」として、たしなめたんだね。

 きっとそうだと思う。

 さて、強力なガスバーナーで茹で揚げるこの時代。
 薪の火を気にしなくていいのだから、もっとちゃんと茹でられるはず。
 いくら、経費削減の世の中だからって、ガス代までケチることもあるまいに。

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2006年11月27日 (月)

乾麺は蕎麦粉の割合の多いものを、とも書いてある。

 お客さまが、新聞にこんな記事が出ていたよ、と言って、そのコピーを持ってきていただいた。

 へえ、けっこう硬めの新聞なのに、蕎麦の栄養成分について書かれてあった。なるほど、新聞記事らしく、簡潔に要領よくまとめてある。

 蕎麦には白米に不足しているビタミンB1が含まれている。
 白米ばかり食べると脚気(かっけ)になるが、蕎麦をよく食べる人にはそうならない。これは、江戸時代からすでに注目されていたそうだ。
 白米は胚芽を落としてしまうが、蕎麦は胚芽が中にあるから、そのまま挽いてしまうため、ビタミンB1が残るのだそうだ。

 ちゃんと、蕎麦の実の断面図までのっている。
 蕎麦の実は三角形をしているが、その真ん中に渦を巻いたような胚芽があるのだ。

 蕎麦のたんぱく質は、植物繊維のように働いて、便秘の解消に役立つとか、コレステロール値の低下作用があるとか、生活習慣病予防になるとか、ミネラルが多いとか、体にいいことづくめのことが書いてある。
 こう言う記事が、新聞にとりあげられて、多くの人の目に触れることはいいことだと思う。

 でもね、体にいいからって、無理をして始めたことって、長続きがしないんだよね。
 次々と出てくるトレーニング機器を買い求めては、洗濯物の干場になっているお母さん。ジョギングを始めたけれど、足が痛くなって、一日でやめてしまったお父さん。酒の量を明日から減らすぞ、だから飲み納めだ、と言いながら、結局余分に飲んでいる飲ん兵衛さん。

 蕎麦も、ポリフェノールだ、抗酸化作用だ、ビタミンB1だなどと難しく考えずに、気楽に食べていただくのが、一番だと思うけれどね。

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2006年11月25日 (土)

ちょっと写真写りが、、、。

 どうやら新聞に私の顔が載ったらしい。
 えっ、また何か悪いことをしたのかって。

 はい、実は、、、。
 あの、、、どうして「また」が付くのですか?

 先日遅い時間に見えた女性のお客様。
 そばを食べ終わった後、いろいろと聞かれたので、お応えしていたところ、メニューのところに置いてある、「おいしいそばの食べ方」の文に興味を持たれたようだ。
 若いのにとても礼儀正しい話し方をする方。
 なんと、地元長野の新聞社、信濃毎日新聞の記者だそうだ。

 まだ、成りたてだからと謙遜しながらも、「そばの食べ方」の文面が面白いのででと、メモをして帰られた。
 そうしたら、翌日、記事にするからと、写真を撮りに来たのだ。
 緊張して写真に納まった私。

 そうして、信濃毎日新聞の夕刊に載ったらしい。
 というのも、私は夕刊をとっていないので、見ていない。11月21日の夕刊に載ったらしいのだけれど。
 ネットによるとこんな内容

 だけれども、ホントに載ったのだろうか。
 いや載ったはずだ。
 でも、その後、ずいぶん知り合いにあったけれど、誰も新聞に載っていたなんていってくれない。
 みんな、気がつかないものなのだね。

 これなら、他のことで顔が出ても、大丈夫かも。

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2006年11月23日 (木)

大男たちにそばを食べさせたい。

 私はバレーボールというスポーツが好きではない。
 狭いコートの中で、まるで動物園の猿山の猿のように、キャッキャ、キャッカと飛び回っている。こんなのは、まるで道化だ。
 さらに、その選手たちの背の高いこと。2メートル近く、あるいはそれ以上の身長を持っている。160センチない私にとって、まるで3階建ての屋上で話をしているものなのだ。こんな背高のっぽのサーカス試合など見たくもない。
 こんな試合を見に行くのは、きっとかなりの偏屈な人に違いない。

Baribo1  ということで、長野で行われたバレーボールの世界選手権を見に行った。
 長野で行われたのは、イタリア、ブルガリア、イラン、ベネズエラ、アメリカ、チェコの6カ国の予選。私の見に行ったのは、世界ランキング2位のイタリアと、同じく5位のアメリカとの試合。(嫌いなわりには、詳しかったりする)

 今回のアメリカは、どうも不調のようだ。でも、速いスピードの迫力ある試合を見せてくれた。

 どうしたら、あんなに背の高い人間ができるのか、私には考えられないが。

 せっかく世界中の国から長野に集まった彼ら。果たしてそばを食べる機会はあったのだろうか。
 毎日試合の連続、体調の管理が大切だから、そんな機会もなかったかもしれない。

 あの大男たちが、窮屈そうにそばをたぐる姿を想像するだけでも楽しいのだが、、、。

Baribo2  だけれども、長野には偏屈な人間は少ないらしい。
 せっかくの一流選手のプレーが見られるっていうのにね。この会場の風通しの良さは、どうにかならないのかな。

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2006年11月21日 (火)

そばの伸しは四六のガマ。

 ガマの油というのは、本当は何から出来ているのだろうか。

 私が子供の頃、昭和30年代には、このガマの油の売り口上を実際に見ることができた。最後に刀で紙を切って、パッと飛び散るところが面白くて、よく見ていてものだ。
 あの売り口上は見事なものだった。

 今では知らない人も多いことだろう。
 そんな人はこちらを参考に

 さて、この油をとるガマは、普通のガマではない。
 四六のガマと呼ばれるガマを使う。
 前足の指が4本、後ろ足の指が6本あるガマのことらしい。

 これをガラス張りの箱の中に入れると、ガマは己の姿をみてタラ〜リタラ〜リと脂汗をかく。その脂汗を集めて煮詰めたのが、ガマの油という軟膏だ。
 ガラス張りの箱の中に入れられれば、人間だって、冷や汗ぐらい出るかもしれない。己の姿を見て、心臓発作を起こす人もいるだろうな。きっと。

 そばを伸す時には、四六のタイミングが必要。
 つまり、引き4分、押し6分の割合だ。
 初めての人にそば打ちを教えると、どうしても押して伸ばそうとしてしまう。
 引きを意識して伸ばしていくと、生地が引っ張られることがない。

 大事なのは肘の位置。
 初心者は、どうしても肘を体につけてしまう。
 こうすると押しにしか力が入らない。
 ちょうどガマが歩くように、肘を両側に張るようにすれば自由が利く。

 だから、そばを伸す時には、ガマになった気分で。
 もちろんそば打ち場には鏡は置いていない。

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2006年11月20日 (月)

恵比寿様は商売の神様。でも万能の神様でもあるようだ。

 今日は11月20日。
 長野では、恵比寿講という祭りが開かれている、、、はずなのだが、街の中はいつもと変わりがなさそうだ。

 この恵比寿講とは、善光寺入り口の東側にある神社、西宮神社のお祭りなのだ。この神社、いつもは静かな小さなお宮だが、この時ばかりは賑わいを見せる。
 特に宵恵比寿といわれる19日の夜には、明け方まで縁起物の熊手を売る店が立ち並び、多くの人がお参りにいく、、、、、らしい。
 ということで、ちょっと西宮神社まで、様子を見にいく、、、いや、お参りに行ってきた。

Ebisu1  昨夜はあいにくの雨模様。
 人出が少なく、屋台のにいちゃん達も、暇を持て余し気味だ。
 それでも中には大きな熊手や、ダルマを抱えていく人がいる。商売をやっている人たちには、思いをかける大切な縁起物なのだ。

Ebisu2  境内には行列ができて、お参りすると、神主さんが一人一人にお払いをしてくれる。
 私も、柄にもなくお参りをしてきた。
 これで少しは、店も繁盛するだろうか。
 あと、おいしい蕎麦が届きますように、北朝鮮がミサイルを飛ばしませんように、そして、このブログを読む人が幸せになるようにと祈ってきた。
 神様も忙しいだろうな。

 この恵比寿講、かっては、長野市中心部の商店街の、年に一度の大イベントだった。収穫を終えて、現金を手にした近隣の農家の人たちが、冬支度をするために、どっと押し寄せたのだ。
 昭和30年代の、恵比寿講の時の、写真を見たことがある。
 中央通りも権堂アーケードも、人、人、人。荷物を抱えた人達でびっしりと埋まっていた。今の人出はそのニ十分の一にもならない。時代の移り変わりなんだね。

 でも、花火大会だけはちゃんと残っている。
 23日。天気が心配だ。

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2006年11月19日 (日)

こしのあるうどんが食べられなくなる?

 新聞によれば、オーストリアでは干ばつが続いているという。
 南部の農業地帯では、例年の三分の一しか雨が降らなかった。その影響で、小麦の収穫が、例年の6割の減産になっているらしい。

 いいじゃないか、よその国の話だ。俺には関係ないよ。
 そう思われるかもしれない。

 ところが、多くの食べ物を輸入に頼っている日本の国。
 どこかの国でくしゃみをすれば、日本の国が風邪をひくことになるのだ。

 日本で消費される小麦の86パーセントは、外国産。そのうちアメリカ産が半分近くを占めるが、オーストリア産だって、日本の消費の20パーセントを占めている。
 そのくらいなら、どこか、他の国から輸入すればいいんじゃないの。
 と思われるかもしれない。
 ところがどっこい、そうもいかないらしい。

 うどんを作るのに適しているのは、いわゆる中力粉といわれるもの。
 この中では特に、オーストラリア・スタンダード・ホワイトというのがうどんに合っているといわれている。こしが強く、国産の粉を上回るといって、愛用しているうどん屋さんも多い。

 その粉は、アメリカ産(ほとんどが薄力粉)やカナダ産では、代わりが利かないのだ。
 そのオーストリアで小麦が少ししか採れない。
 ということは、日本のうどんは、、、、、。

 そばもうどんも日本の食べ物だと思っていたら、いつの間にか、大切なところで外国に依存していたのだね。日本のそばの国産自給率は21パーセント、小麦はわずか14パーセントしかないんだ。

 この干ばつは、地球温暖化の影響のためといわれている。私達が便利な暮らしをしているつけが回っているのだね。
 

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2006年11月18日 (土)

長野は野菜を揚げた精進揚げが多い

 「そば屋の天ぷら、谷中(やなか)の質屋」

 そば屋の天ぷらに関して、こんな言い伝えがあるらしい。なるほどなと思うが、最近はそれほどでもなくなったみたいだ。

 えっ、何のことか分からないって。
 それでは教えて差し上げましょう。エヘン。

 東京は上野の森の北側に、谷中といわれる場所がある。山手線の駅でいうと鴬谷と日暮里の間の内側の当たり。
 ここは実は、お寺がたくさん並んでいるところ。江戸時代から続いているんだね。
 谷中にお墓があるっていうことは、江戸っ子である証拠でもあったというぐらいで、とにかく寺が多い。
 ここのお坊さんにも、不心得者がいて、質屋に通ったりする。お坊さんが預けるのは、袈裟と呼ばれる着物。つまり、ここ質屋は、お坊さんの袈裟ばかり、衣ばかり集まることになる。

 さて、そば屋の天ぷら。
 昔は大きなエビがどかんと真ん中に載っているものが多かった。
 このエビ、大きく見えるけれど、じつは、天ぷらの衣を一杯つけて見せかけている代物。そば屋の天ぷらは、独特のあげ方で、衣をたっぷりとつけて大きくしている。

 そう、そば屋の天ぷらも、谷中の質屋も、「衣(ころも)」だらけだということ。

 最近は、あっさりと揚げるところも増えてきて、少し変わってきたようだ。
 もっとも「かんだた」では天ぷらはやっておりませんが。

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2006年11月17日 (金)

岸恵子は蕎麦を食べるのだろうか。

 今日は駅前の東急で開かれていた「岸恵子写真展、私のパリ、私のフランス」を見に行ってきた。
 さすがフランス暮らしの長い大女優、パリの景色のすっと解け込みながら、しっかりとした存在感を訴えかけてくる。

 岸恵子といえば、バタ臭い(もう死語だが)顔立ちで、モダンな洋風の役が似合いそうだが、市川崑監督の映画に出てくる彼女は、けっこう着物姿も似合っている。
 前にも紹介した映画「おとうと」もそうだったし、「悪魔の手毬歌」では、あか抜けない田舎の旅館の女将さんの役をやっていた。何といっても華やかだったのは「細雪」だろう。使われた着物も見事だったが、それを着こなした岸恵子もさすがだ。
 最近では「たそがれ清兵衛」にも少しだけ出ていたが、印象深い役だった。

 彼女は若くしてフランス人の映画監督と結婚し、以後ずっとパリに住んでいるそうだ。まさにパリの匂いが染み付いている感じがする。

 でも、今回のこの写真展に行ったのは、岸恵子の姿を見るためだけではない。やはり、パリに住み続けている、もう一人の日本人の名前があったからだ。

 「写真、山下郁夫」

 ポスターでその名前を見た時に、あっと思った。あの山下さんが、岸恵子の写真を撮ったのだ。
 もう30年近く前、私はフランスで貧乏旅行をしていた。その時に知人にパリにいた山下さんを紹介してもらい、そのアパートに転がり込んだのだ。広さといえば六畳ぐらい、その狭い部屋に一週間以上も泊めてもらい、さらに、スペインへ行っている間に荷物を預かってもらった。
 当時の山下さんは、日本料理店で働きながら、お金が貯まるとあちらこちらに撮影旅行に行っていた。そして、雑誌社などに売り込んでいたのだ。

 世話になったままだったが、その後、パリで日本人の女性と結婚したという話を聞いている。そう、そして、あのままパリにいたのだね。
 岸恵子が、パリの町が、あの山下さんの眼を通して目の前にあるんだ。

 「おれは、いわゆる売れる写真というのが、どうも撮れないんだ。」
 そう言っていた山下さんは、ずっとパリに住み続け、写真を撮り続けていたのだ。たしか私より、五歳ぐらい年上だったと思った。

 志を貫き通すこと、そういうことが大切なんだね。
 私にとって、そんなセンチメンタルな写真展だった。

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2006年11月16日 (木)

メニューの更新

 食べ物屋に入った時、一つの楽しみは、メニューを見ることだ。
 メニューはお店からお客さまへのメッセージ。この店はどんな伝え方をしているのか、そんなことに期待してしまう。

 大きなところでは、これぞとばかりに、きれいな写真入りの、ラミネートされたメニューが出てくる。確かに分かりやすいが、私にとっては、もっとも面白くないメニューだ。
 あれもこれも写真を見ているだけで、腹が一杯になってしまう。
 もっとも、そういう店で働いている人の話では、きちんと写真と同じように作らなければいけないから、大変らしい。
 中には、エビが写真のメニューより少ないとか、付け合わせのトマトがブロッコリーになっているとか、文句を言う人もあるそうだ。
 あるステーキ店で、写真を拡大してメニューにのせていたら、さっそく文句があった。写真より小さいじゃないか。あの大きさだと思ったから頼んだのだと。
 ああいう店も、いろいろと苦労があるようだ。

 ある喫茶店ではメニューブックは、五味太郎という人の絵本。絵の空白に、その店のメニューが書き込まれているのだ。家族連れの多い店での、しゃれた演出だ。

 そば屋のメニューなんて言うものは、板に書かれた「お品書き」が壁にぶら下がっている店が多かったが、最近は、ちょっとしたメニューブックが出されることも多くなった。
 中には、ビッチリと蕎麦のうんちくが書かれたものもある。
 筆で手書きで書かれたメニューもあるし、パソコンで苦労して作った感じのものもある。
 メニューはお客さまにとって、大切な情報源。だから、それをどう伝えたらいいのか、いつも頭を悩まされる。

 「手打ちそば屋かんだた」では、板に、パソコンでプリントしたシールを貼付けた簡単なメニューを使っている。
 きょうは、そのそのメニューを作り替えたところだ。シールを貼付ける板を磨くのに、けっこう手間がかかってしまった。
 また、いろいろな店のメニューを参考にしてみたい。

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2006年11月14日 (火)

手首にご注意

 私は若い時からの腰痛持ちだ。
 こんなものを持っていても、何の自慢にもならない。
 だから、腰痛予防体操とコルセットは欠かせない。

 そば屋の仕事は立ち仕事だから腰に負担がかかる。注意していないと、そのままの格好で固まってしまって動けなくなる。あのぎっくり腰の辛さは、なった人でなければ分かるまい。

 そば打ちにも、腰を使う。
 特に水回しの時、そして切る時だ。
 同じように腰痛に悩むそば屋さんも多いことと思う。

Maruosi  もう一つ注意しなくてはいけないのが手首だ。
 これも一度痛めてしまったら、なかなか直らない。
 手首は、木鉢での捏ねの時、そして包丁の時に痛め易いようだ。

 毎日の仕事だから、痛めないような環境づくりが大切だろう。捏ね鉢にしても、のし台にしても、弾力のあるものを使い、姿勢に気をつける。なにしろ痛くなれば、仕事を休まなくてはならないのだ。

 手首なんぞ医者に行ったって、湿布を貼って、「ああ、あまり動かさないでね。」といわれて終わりなのだ。こっちは、動かさないわけにはいかない。

 こういうことを人に話すと、「年だからね。」等といわれる。
 手首も腰も、それを支える筋肉が弱るから痛めるんだって。

 エエイ、そうならないように、日々ストレッチと筋力トレーニングをしなければ。
 そば打ちは体力なのだ。

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2006年11月13日 (月)

注文の多いそば店

 お客さまの話では、あるところに面白いそば屋があるそうだ。

 そのそば屋に入ると、待合室のようなところへ案内されて、ビデオを見せられる。
 そのビデオとは、その店のご主人自らが出演して、蕎麦の食べ方を教えるものなのだそうだ。つまり、この店の蕎麦はこう食べなさいと。
 それを見終わると、やっと、席に案内される。

 「蕎麦はどうでしたか。」と聞くと、そこの主人が、善光寺の仁王様みたいにじっと睨んでいるので、ビデオの通り食べなくてはと緊張してしまったとのこと。
 そのせいか、ちっともおいしく感じられなかったようだ。

 宮沢賢治の童話の中にでてくる「山猫亭」のような話だ。
 最後に食べられなくて、よかった、よかった。

 へえ、そういう店があるんだね。
 あなたは行ってみたいですか。そういうお店に。
 私は、ちょっと遠慮しておきますね。

 蕎麦の食べ方もいろいろと言う方もいるけれど、これはお客さま自らが欲していくもの。けっして、こうするべきだなどと押し付けるものではないだろう。

 などと言いながらも「手打ちそば屋かんだた」にも、蕎麦の食べ方についての厳しい決まりがある。
 これを守っていただけないお客さまには、料金の三倍をいただくことにしている。
 その決まりとは。

  1.  お腹のすいた時に食べる。
  2.  出てきたらすぐに食べる。
  3.  薬味は少しづつ入れて食べる。
  4.  蕎麦は八本づつすくって食べる。
  5.  汁には半分位つけて食べる。
  6.  音をたててすすって食べる。
  7.  奥歯でニ回だけ噛んで食べる。
  8.  食べ終わったら蕎麦湯を飲む。
  9.  以上を気にせず好きに食べる。

 最後が一番大切。
 皆さんご自由に、自分がおいしいと思う食べ方でお食べ下さい。

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2006年11月12日 (日)

水のしたたるいいお蕎麦。んっ?

 前に戸隠蕎麦の「ぼっちもり」について書いたことがある。
 この盛り方では、水から直接蕎麦を盛るので、水切りができていない。つまり、ザルは水だらけで、ザルの下の受け皿にも水が溜まるようになってしまう。
 戸隠蕎麦はそれがウリなのだ。太くて固い蕎麦だから出来ることだろう。

 でも、一般的には、スダレやザルに水が溜まるような盛り方をするのは、どうもいただけない。
 よく水が切れていないと、そば汁は薄まってしまうし、蕎麦の香りがたたない。だいいち、最後の方の蕎麦は、水でふやけてよれよれになってしまう。

 蕎麦は、茹で上がって、表面のぬめりを洗い、その水がスーと切れたぐらいが、一番香り高くおいしく頂ける。
 だから、心あるそば屋は、その水切りのタイミングに苦労している。

 麺の表面積の多い、手打ちの蕎麦の、細い蕎麦ほど水切りが難しくなる。
 あるそば屋では、茹で上がった蕎麦を、先の尖った手ざるにあけて、それを振り回して水を切っていた。最初は何をしているのかと思ったが、なるほど、早く水を切るための心遣いなのだ。

 「手打ちそば屋かんだた」では、一度溜めざるに置き、しばらくしてから少しずつ持ち上げて、水分を落としながらせいろに盛っている。スダレに水が溜まるような盛り方をしたくないからだ。

 蕎麦は、茹でたてというけれど、洗い立てのびしょびしょの蕎麦を出されても困る。といって、乾いて香りが飛んでしまったような蕎麦でもいけない。
 水切りというのも、そば屋の大事な仕事なのだね。

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2006年11月11日 (土)

蕎麦を食べるのは日本人ばかりではない。

 蕎麦は日本の伝統食だ。
 ほかの国では、蕎麦を食べるところなどそんなにないだろう。
 蕎麦をこんなに食べるのは、日本の国だけだ。

 そう威張っていたら、向こうの方で手が挙がる。
 「意義あり〜。私の国だって、蕎麦が伝統食です。」

 ええ、なんだって。
 お前はどこのものだ。
 「はい、スロべニアです。」

 えっ、スロべニア。
 慌てて世界地図を引っ張り出す私。ああ、こんなところにあった。
 イタリアからアドリア海沿いに東へいった最初の国。
 旧ユーゴスラビア連邦に組み込まれていた、面積で言えば四国と同じぐらい,人口は200万ほどの、つまり長野県と同じぐらいの人口の国だ。
 ちょっと、古い資料だけれど、人口一人当たりの蕎麦の生産量は、日本の十倍だって。
 へえ、そんなに蕎麦が食べられているのだ。

 といっても、スロベニアの人たちが、ズズッとそばを手繰るわけではない。
 パンやお菓子にしたり、ソバガキのようなものを作って食べるのだ。調べてみれば、日本の蕎麦の食べ方より、遥かに豊富な料理方法がありそうだ。スパゲッティにちょっと混ぜるだけかと思ったら、違うんだね。
 蕎麦の栽培などは、きちんと管理されており、品質の良い蕎麦粒、蕎麦粉が流通しているらしい。

 スロべニアで、なぜ蕎麦の栽培が広まったかというと、この話が面白い。
 時代は16世紀から17世紀、スロバニアはオーストリアの王様の統治下にあった。農民たちは、厳しい税の取り立てに苦しめられていた。
 さて、そこへ誰かが蕎麦の種を持ち込んだ。蕎麦は成長が早いので麦の収穫の後に育てることが出来る。しかも、新しい作物だから、租税の対象にならなかったのだ。
 農民たちはこぞって蕎麦を作り、その食べ方を工夫した。それが今日の伝統となったのだ。

 16世紀から17世紀と言えば、日本でも蕎麦切りが広まった時代。日本だって蕎麦は租税の対象外だった。
 食べ物の文化は、貧しい庶民たちが切り開いていくものなのだね。

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2006年11月10日 (金)

お経はどうだろうか。

 街路樹の桂の木の枯れ葉が、表参道を舞う季節となった。

 こんな時、蕎麦を打ちながら聞くのは、キャノンボール・アダレイの「枯葉」だったりして。
 この曲のマイルス・デイビスのトランペットがいいんだ。ラッパに消音機を付け、抑えめの音で唸らせる。いつもはパワフルなキャノンボールのサックスが、それを追いかけるように、最初は控えめながら、やがてはっきりとした音を出していく。
 パパッパッパ〜。パパッパッパ〜〜〜。

 あっ、失礼。自分の世界に入ってしまった。

 このごろはそば屋でも、ジャズを流す店が多くなってきた。
 前にはいった店では、ちょうど懐かしの「MJQ」が流れていた。
 へえ、いまでもこの曲は聴かれているんだ。ミルト・ジャクソンの巧妙なヴィブラホンを聞きながら蕎麦を手繰るのもいいものだ。

 ある店では、多分有線放送を使っているのだろう、80年代のポップスを流していた。
 そこで流れてきたのはトレシー・チャップマン。黒人である自分達の生活の苦しさを、ギター一本でサラッとうたいあげる彼女のステージを、ビデオで見たことがある。電気サウンド全盛の当時に、生ギターの音だけで歌う彼女の姿は、妙に印象に残っている。
 ああ、あの頃は、あんなことをしていたな、等と思いながら蕎麦を手繰った。

 クラッシックを流している店もある。
 飛騨家具のテーブルに座り、ヨハン・シュトラウスなどを聴かされると、つい、蕎麦を手繰るリズムも三拍子になってしまうのだ。

 他にも、いわゆるヒーリング系の音楽を流しているところもある。ラジオ番組をそのまま流しているところもあった。
 そば屋のBGMといえば、人のざわめきとテレビの音ぐらいかと思ったら、最近はけっこういろいろな音が聞こえてくる。きっと、そこのご主人の趣味なのだろうね。
 でも、ハードロック系の音を流しているところはないし、レゲエも聞かない。演歌は観光地ではあるけれど、日本のポップスを流しているところは少ない。

 ということは、ジャズやクラッシック、評価の定まった昔のポップスなどを好きな人がそば屋をすることが多いのだろうか。きっと、内省的な人が多いんだね。

 「手打ちそば屋かんだた」では、音楽は流していない。
 蕎麦に集中して頂きたいからだ。

 などとかっこいいことを言っているが、音楽なんぞ流そうものならば、私が自分の世界に入ってしまうから。ラテン系をがんがんと、、、、オレッ。
 店にはスピーカは置かないようにしておこう。

 
 
 
 

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2006年11月 9日 (木)

蕎麦粉は紙袋に入れる。

 昔、仕事先でモルタルが必要のなったので、セメントを買いにいったことがある。
 重いセメント袋を、ヨイショと車の中に置いたら、何かに引っ掛かって、袋が破け、車の中がセメントだらけになってしまった。
 あの時ほど、破れやすい紙袋に入れられたセメントを恨んだことはない。

 生のセメントは、ビニール袋に入れると、中で結露が出来て、その水分でセメントが固まってしまうのだ。だから、セメントは湿気を通すように紙袋に入れられているんだ。

 子供の頃、校庭のライン引きに使われていた白い石灰。あれも紙袋に入れられていた。いまでも学校では、使われているのだろうか。
 石灰も、水気にあうと変質してしまうので、やっぱり紙袋なのだ。

Fukuro_1  蕎麦粉も同じ、やっぱり紙袋に入れられてくる。
 この前話したように、挽いたばかりの蕎麦粉はまだ生きている。呼吸をしているんだね。空気が入るように紙袋に入れられているんだ。
 だから蕎麦粉は、適度な湿度を保っていることができるんだ。

 スーパーなどで売られている、ビニール袋入りの蕎麦粉は、結露しないように、よく乾燥させてある。もちろん呼吸もしていない死んだ粉だ。
 こういう粉では、「長い蕎麦」を作るのは難しいことだと思う。

 それぞれに、昔から、保存方法は工夫されているんだね。

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2006年11月 7日 (火)

新蕎麦をシンプルに味わう。

 本日は恒例の「十割蕎麦の夕べ」。
 皆さん、ご来場ありがとうございました。

Sobanoyuube  今日のメインはなんといっても「新そば」。
 他のものは何も混ぜずに、蕎麦の風味だけを味わって頂くことにした。

 香りをみるために用意したのが「うしお汁」。
 水出しの昆布出汁に、瀬戸内海の塩を溶かしただけのもの。塩だけのシンプルな味が香りを引き立ててくれる。

 味をみるために用意したのは「おろし汁」。
 荒くおろした大根の絞り汁。いや、けっして辛くはないもの。それにちょっと薄味の味噌を添えた。これで、蕎麦の甘味が引き立つのかな。

 そして、楽しむために、いつものそば汁。

 そんなことで、せっかくの新そばを、シンプルな汁で楽しんでもらおうという趣向だった。

 今回の新そばは、すごくしっかりとしていて、十割で打っても、ざらつき感がなく、細い麺線でもはっきりとした香りを保つことが出来た気がする。
 お客さまにも、こんな食べ方は初めてと好評を頂いた。
 特に「うしお汁」は、私自身でも面白いと思っている。

 まだまだ、蕎麦には様々な食べ方、作り方があると思う。
 幸いなことに、こうして実験台になって、、、、いえいえ積極的なお客さまに恵まれて、うれしいかぎり。
 来月は何を用意しようか。考える方も楽しい。

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2006年11月 4日 (土)

最初は頼みづらいかも知れない。

 さて、ご家庭で蕎麦打ちをなさっている方で、蕎麦が短く切れてしまうという悩みをお持ちの方がおおいようだ。
 その一番の原因は、すでに死んだ粉を使っているからではないだろうかと思われる。

 さて、では、その新鮮な蕎麦粉はどこで手にはいるのか。

 ここでうれしいニュース。
 某大手コンビニチェーンでは、家庭での蕎麦打ちブームから、蕎麦粉の量り売りをはじめることにした。カウンターの中に専用の箱をもうけ、製造から三日以内の蕎麦粉を百グラム単位で販売する。これにともない、パート、アルバイトを含む従業員に蕎麦に関しての基礎知識を教育して、、、、。

 効率重視のコンビニがそんなことをするわけがない。
 でも、コンビニ並みとはいかないが、けっこうあちらこちらに、新鮮な蕎麦粉を置き、基礎知識のある人のいる店があるではないか。

 そう、そば屋なのだ。

 たいがいのそば屋では、手打ちにしろ製麺機にしろ、自分の店で蕎麦を作っている。当然挽きたての蕎麦粉もあるわけだ。
 それを分けてもらえばいいだけの話だ。

 では、どんなそば屋から蕎麦粉を分けてもらえばいいのか。

1、手打ちのこだわりの店で、雑誌などに紹介されているような高級な店。
2、自家製粉を売り物にしている店
3、丼ものをやったり出前もしたりしている普通のそば屋。

 さて、どこがいいでしょう。

 答えは3の普通のそば屋です。それも、出来るだけ、はやっているような店がいい。
 1や2は、逆に癖のある粉を使っていることがあるので、家庭では扱いにくい(店の店主も扱いにくかったりして)かも知れないからだ。

 地域に親しまれている普通のそば屋は、とにかく量を売りさばくことが勝負。だから、週にニ三回は蕎麦粉屋さんから粉を仕入れている。新鮮な粉があるのだ。
 ええ、だって、あのそば屋の蕎麦の味では、おいしい蕎麦粉ではないんじゃない。
 そう思うかも知れない。でも、ここでは活きのいい蕎麦粉を手にいれることだけを考えよう。

 店の暇そうな時間を狙って、蕎麦粉を分けてもらおう。ついでに「つなぎ粉」と「打ち粉」もね。これで準備万端。
 さっそく蕎麦打ち。
 えっ、これがあの店の蕎麦なの。
 というぐらい、おいしい蕎麦が食べられることだろう。

 それこそが、自分で蕎麦を作る、最大の楽しみなのだ。

 家庭で打つには、まず、楽しく、おいしく作ってもらうことが大切だと思う。
 最初から無理をして、石臼挽きだ、産地はどこだ、道具は何だなんてやっていると疲れてしまう。
 蕎麦が切れてしまうのは、小手先の技術だけの問題ではなく、蕎麦の性質をよく知っていただくことが一番の解決方法なんだね。

 
 

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2006年11月 3日 (金)

蕎麦粉と刺身は、新鮮なほうがいい。

 蕎麦を初めて打つ多くの方は、蕎麦粉を小麦粉と同じように扱えるものと思っているようだ。
 ところが、小麦粉と蕎麦粉は、性質が全然違う。

 小麦粉は保湿性もいいし、保管もしやすい。
 だから、大メーカーが大きな工場で一括生産し、全国にバラ撒くことができるんだね。

 ところが蕎麦はそうはいかない。
 粉にすると、周りの乾燥や湿気の影響を受けやすいし、日が経つに連れて、急速に劣化していってしまうのだ。
 だから、そば屋さんは、自家製粉をしたりして、出来るだけ新鮮な粉を使うように努力している。

 一度劣化した粉は、もう蕎麦には使えない。
 その粉で蕎麦を打っても、繋がらずに、切れ切れになってしまうのがオチ。
 昨日のお客さまのようにね。
 蕎麦粉と小麦粉とは、全く性質の違うもの。同じように考えてはいけないんだ。

 話は変わるが、私は寿司屋へ行くと、必ず「ひかりもの」と言われるものを注文する。
 アジ、イワシ、サバ、季節によってはサヨリなんかもいい。

 なんだ、安い魚ばかりじゃないか。
 え〜え、どうせ私は貧乏ものですよ。トロやウニなんぞ、頼みたくたって頼めないものね。
 でもね、好きなんだからしょうがない。

 「ひかりもの」は新鮮さが大切だからね。
 おお、このイワシは、つい、2日前までは、海を泳いでいたんだろうな。このアジは、どこの海にいたのだろう。
 そう考えながら食べるのが楽しいのだ。

 刺身は、新鮮な魚だから刺身として食べられる。
 日持ちがするように干物にしてしまったら、刺身にはできない。
 冷凍のアジやイワシも刺身にはできない。

 蕎麦も同じなのだ。
 蕎麦は粉に挽く前には、しっかりと生きている。倉庫の蕎麦粒を土にまけば、ちゃんと芽が出て花も咲く。蕎麦粉にする前の蕎麦は、命の塊なのだ。
 その命を粉にしたもの、それが蕎麦粉なんだ。

 寿司屋の刺身は新鮮さが売り。
 そば屋の蕎麦だって、新鮮さが売り物。

 だから、自宅で蕎麦を打つ時にも、新鮮な、ぴちぴちしているような蕎麦粉を使ったほうがいい。
 スプーンですくって食べる蕎麦が好きな方は、それでもいいけれど。

 でも、そんな新鮮な蕎麦粉なんて手にはいらないよ。
 だいいち、売っていないもの。

 そう、その通り。扱いづらい、買う人が少ない、賞味期限が短い。そんなものを店では置きたがらない。
 でも、簡単に手にはいる方法があるんだ。

 あっ、紙が終わっちゃった。続きはまた明日。

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2006年11月 2日 (木)

スプーンで食べる蕎麦もいいかも。

 あるお客さまの話。
 この方は、ご自身でも蕎麦を打たれる。
 ところが先日、久しぶりに蕎麦打ちをしたが、ぶつぶつに切れてしまったそうだ。
 ちゃんと麺線にはなるのだが、茹でるとバラバラになってしまったと言う。

 多くの方から、蕎麦を切れないように打つにはどうしたらいいのか聞かれる。皆さん苦労をしていらっしゃるようだ。

 蕎麦が切れるのには、様々な原因があるようだ。
 そば粉の扱い、水回しの方法、練りの不足、伸し切りの時の生地の扱い、打ち終わってからの麺の保存(たとえわずかな時間でも箱に入れるかタオルをかぶせておく)、茹で釜の湯量不足、などなど。

 でもね、蕎麦をうまく繋がらせるためには、もっと大切なことがあるんだ。

 そのお客さまに、どこで蕎麦粉を手に入れたかお聞きしてみた。
 すると、いわゆる地場生産物を売っている店で、地元の粉とのことで買われたそうだ。
 「その粉は、ビニールの袋には入っていましたか。」
 「ええ、そうですよ。打ち粉も売っていたのでそこで買いました。」

 ビニール袋に入れられて、店先に置かれていた「蕎麦粉」。
 う〜ん、そういう粉では、私もうまく打てないかもしれない。
 なぜなら、その蕎麦粉は死んでいるからだ。

 やはり蕎麦がぶつぶつに切れてしまった他の人の話。
 「どんな蕎麦粉を使いましたか。」
 「三か月前に、蕎麦打ちの講習を受けて、その時買った蕎麦粉を冷凍庫に入れておいたんだ。」

 三ヶ月間、家庭用冷蔵庫の冷凍庫に入れられていた蕎麦粉。
 やっぱり、私はその粉で、蕎麦を打つ自信はない。
 なぜなら、その蕎麦粉は死んでいるからだ。

 死んだ粉でも、蕎麦がきにして食べるのであればいいかもしれない。天ぷらの粉に使うのもいい。出汁で溶いて薄焼きにするのもいい。
 でも、長い蕎麦にするには、難しいのだ。

 そう、蕎麦を作るには、「生きた蕎麦粉」を使わなければ。

 ええっ、蕎麦粉が生きたり死んだりするの。
 そう、生きている蕎麦粉は、耳を澄ませば寝息が聞こえてくるんだ。
 「オオイ、生きているかあ。」と聞けば、「おお、生きてるぞ。」って返事のかえってくるくらいの、元気な蕎麦粉を使わなければ、いい蕎麦にならないんだ。

 生きている蕎麦粉ってどんなもの、、、、

 という話はまた明日。 

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